有馬温泉のバイパスのこと

 業界紙有馬温泉がバイパス問題で揺れているとの記事が掲載されました。昨年暮れ頃に話しを聞いていて関心はあったのですが、そのままになっていました。記事を読んで感じたのは、この問題を、有馬温泉を“奥座敷”としてかかえる神戸市民をはじめ阪神、大阪の利用者がどれだけ知っているのかな、また旅行業者の人たちがどれだけ知らされているのかなということです。お恥ずかしい話ですが私も神戸で営業しながら、ことの重大性に無頓着でした。今、有馬は“太閤の湯”といわれてはいますが、司馬遼太郎の「国盗り物語」には、目的のためには忍の一字の若き斎藤道三と京都の油屋女主人の切ない恋心が、六甲の山懐に抱かれた有馬温泉の荒削りの素朴な情景とともに描かれています。有馬の地形をそれなりに知っているだけに、その描写が懐かしさとともにまぶたに浮かびます。大自然の中の有馬温泉の有りようは、それこそ道三の時代から今日まで、さらにこれからも“利用者、湯治客らとともに”が基本であるはずです。そのために、もっと利用者に広く問うてみることも大事なんじゃないでしょうか?目先のことだけでなく、将来をも見通した判断が必要のようにも感じます。私たち旅行業者としても、これまでの旅行業のあり方、これからの展望を考える良い機会にできればなと思います。