こんな無駄遣いで日本は大丈夫?

KokusaiTourist2005-10-28

 最近読んだ本(『数字のホント?ウソ!』加藤良平著)で、『日本の財政赤字』と『世界の軍事費』の膨大さを例に挙げて、数字表現センスを身につけることが大事だという説に触れました。数字の膨大さとともにいかに無駄遣いであるかがよく分かるので紹介します。
1.日本の財政赤字=751兆円(2005年3月現在)について
積み上げると=1万円札新札で7,500㌔㍍。→富士山の約2,000倍の高さ=地球の半径より少し長い。
重さは=約75,000トン。水いっぱいの幅20㍍の50㍍プール40個の重さ。
敷き詰めると=900平方㌔→琵琶湖より広い。
一円玉で積み重ねると=11.25億㎞→大陽までの距離の7.5倍。
一円玉と敷き詰めると=26万平方㌔→本州+九州も広さ。
ここまでは、よくあるたとえ。続いて、こんな表現が…
日本の財政赤字の751兆円。これは明治維新があった1868年以来毎日150億円ずつを積み立てた金額になります。毎日150億円ずつ何か建設的なもの(実際のビル建設という意味ではありません)に投資してきたとすれば、どれだけの素晴らしい成果が生まれたのでしょう。そう考えると、まさしく犯罪的ともいえる数字であることがわかるでしょう。誰の犯罪かは別として。」
2.社会保険庁の無駄遣い=6,300億円(04年現在)。
社会保険庁発足(1962年)以来の42年間で日割りすると、何と1日約4,100万。「毎日のこれだけのムダ遣いって、一体どうやったらできるんでしょう。」
3.世界の軍事費は?
キリスト生誕の日から、毎日毎日35万円積み立てたとして、その総額が、現在の世界の軍事費のトータルと等しくなる。ただし、年間の軍事費ではありません。1日当たりの軍事費だといいます。
 検証です。02年度の世界の軍事費合計は、約8,430億$(日本は第4位)です。1日当たりだと、約23億$。円換算で2,540億円。キリスト生誕から今まで2005年×365日=731,825日。1日当たり347,000円。1日当たりでなく年間の軍事費と比べると、2005年間毎日毎日約1億2,669万円を積立た額とほぼ等しくなるといいます。「戦争の大半は、貧困と相互不理解から生じています。毎日1億2,669万円とはいいません。その1%、つまり毎日120万円でよいのです。イエスキリストの時代から、農業や工業の技術の進歩のためにそれを使ってきたら、そもそも戦争の原因となる貧困状況はまだましになったと思うのです。あるいは、毎日120万円を何らかのユニークなアーチストや芸能者の支援にあててきたらどうでしょう。……何といても2000年間です。それにより蓄積される文化の厚みあるや絶大です。……しかもそういった蓄積は、ある年にだけ役立つのではありません。来年も再来年もずっと戦争抑止のために役立つのです。」
4.「国民一人当たりのウソ」
日本の財政赤字751兆円、国民一人当たりでいうと約626万円…という表現がよくなされます。これに対して著者は、「天文学的な数字というのは実感がわきませんから、その巨大さをわかりやすく表すために、国民一人当たりに直しているんだ。……しかし、待ってください。これは、暗黙のうちに『みんなで責任取ろうね』というメッセージをさりげなく込めているのかもしれません。」「バブル後の銀行の不良債権。これは額が巨大だという要因もあるのでしょうが、国民一人当たりという表現がよく使われていました。現実に公的資金(最終的には税金)が投入された以上、こういう割り算にも全く意味がないとはいいませんが、、逆に『国民一人当たり』という言葉を一人歩きさせ、税金を使う機運を作り出していった、という面も無視できないと思います。……第一に銀行経営者、第二に出資者、第三に一般従業員で何らかの割り算をすべきものです。……(公的支援の)前提として、現在の経営陣はもちろん、監督官庁や過去の経営陣の法的責任も明確にする。そのくらい厳しく問わ
れるべき数字を、単に『国民一人当たりでいうと』などという割り算で薄められてはたまりません。」「……そういった厳しいプロセスなしに、単純に『国家財政の赤字が結果的に出たんだから国の人口で割ろう』などという発想は、まさに太平洋戦争の『一億総懺悔』となんら変わりありません。それは、本来の責任を覆い隠すものであり、高い授業料を払って学ぶべき将来への知恵をも台無しにしてしまうものなのです。」小泉内閣がすすめる消費税を柱とする大増税路線はまさにの通りだと感じた次第です。()内は著書からの引用。……は中略。