KokusaiTourist2007-01-23

 湯川秀樹博士生誕100年に兵旅協がアピール

核廃絶を願う“まがつびよ…”の詩・曲をひろげよう
湯川秀樹博士生誕100年にあたって
                          2007年1月22日
     兵庫県旅行業協同組合/“まがつびよ…”をひろげる会

 「終末時計」が2分進められ、「地球滅亡5分前」とされました。5年ぶりに針が動かされたわけです。アメリカの科学誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスト』の理事会は、その理由として「われわれは、第二の核時代の瀬戸際に立っている。広島と長崎への最初の原爆投下以来、世界がこれほど危険な選択に直面したことはない。」と表明し、北朝鮮の核実験とイランの核開発に加え、米国による核兵器の軍事的有用性の改めての強調で、他の諸国も核兵器は自分たちの安全に必要だと考えるようになったことを挙げています。
 日本でも、昨年の北朝鮮の核実験以来、核保有の議論や「非核3原則」の見直しの声が公然と出始めており、唯一の被爆国民として、看過できない状況が生まれています。
 私たち中小の旅行業者の団体である兵庫県旅行業協同組合は、平和でなければ成り立たない業種として、ただ平和を享受するだけでなく、平和に貢献しようとの立場から、昨年秋、「“まがつびよ…”をひろげる会」を立ち上げました。これは、湯川秀樹博士が「核抑止力論は誤りで、核兵器は絶対悪」との思いを託された“まがつびよ ふたたびここに くるなかれ 平和をいのる 人のみぞここは”の詩とメロディを広めようというものです。
 昨年秋マスコミでも報道され、以来多くの方から楽譜を欲しいという声が寄せられており、非常に時宜を得た活動だと多方面から歓迎されています。
 1月23日はこの湯川秀樹博士生誕100年の日であります。日本人初のノーベル賞受賞者である博士は、自らの理論が原爆開発につながり、広島、長崎の惨劇を生み、さらに水爆開発も続いたことに衝撃を受け、核兵器廃絶と原子力の平和利用、戦争をなくすため最期まで力を尽くされました。核兵器と戦争の廃絶を訴えた「ラッセル=アインシュタイン宣言」の署名人の一人として、科学者の社会的責任として平和運動に取り組み、「世界平和アピール7人委員会」で平和憲法の尊重と核兵器の廃絶について積極的に発言を続けられました。
 今日「地球滅亡5分前」の時代の中で迎える博士生誕100年の記念日にあたり、核兵器は絶対悪だとする博士の平和運動に光をあて、教訓を学びとることはきわめて意義あることです。わたしたちも、“まがつびよ…”をひろめることで、博士の願いに応え平和の維持に貢献したいと思います。
 いま、核保有大国が核拡散を防ぐ立場から新たな核保有を認めないという矛盾を含んだ国際関係の中で、痛恨の侵略戦争と悲惨な被爆体験を合わせ持つ日本、そこから核兵器を持たず、平和憲法を持つに至った日本には、博士の「核兵器は絶対悪だ」と言う立場を受け継ぎ、核兵器廃絶と非戦を主張できる名誉ある崇高な役割が与えられています。私たちも、一人ひとりの国民としてまた旅行業者の団体として、大きく平和を求める声を上げることにより、日本がその役割を果たせるようにしていくことが、社会的役割だと思います。
 広島の平和公園のなかに、“まがつびよ…”の詩碑があります。私たちは、博士生誕100年の記念の年の8月6日には、この碑の前で、“まがつびよ…”を歌う集いをもつことをいま検討しています。平和を愛するすべての皆さんに、ご一緒に“まがつびよ…”を広め共にお歌いくださることを願ってやみません。