兵庫県旅行業協同組合(兵旅協)が、選挙戦にあたり、次のアピールを発表しました。

 選挙戦にあたって交通運輸分野の「規制緩和」を問う
−スキーバス事故、航空機事故・トラブルの続発に関連して−
                      2007年4月
                     兵庫県旅行業協同組合

 一斉地方選挙が始まりました。続いて7月には参院選挙が戦われます。二極分
化、格差景気のもとで、私たち中小旅行業者にとっても厳しい社会状況が続いて
いますが、中小企業が立ちゆくような世の中にするチャンスとして期待していま
す。景気、憲法社会保障、税制、金融、教育など様々な争点がありますが、
平和と安全は私たちの最大の関心事であります。
 開戦4年を過ぎて「泥沼」化するイラクの現状に世界中が憂えています。世界
の大勢に反してアメリカはさらに増派し、日本はそれに輸送面で協力しようとし
ています。日本はいまこそ、平和憲法を持つ国として、戦争をさせない世界の平
和の秩序をつくる先頭にたって欲しいものです。旅行を安全に楽しくできる環境
は、旅行業者のみならず国民誰もの願いであります。
 一方、自由競争、市場主義の名の下に「規制緩和」が政策的に実施されて久し
いですが、最近の交通機関の連続したトラブル、事故は、背景に「規制緩和」と
それによる過度の競争主義、成長至上路線があると指摘されています。交通機関
には、何をさておいても絶対的に安全第一が求められ、それが社会的な使命であ
ります。
 交通機関の利用も業務の一つとする私たち旅行業者の仕事は安全な交通機関
でなければ成り立ちません。この分野に、「規制緩和」が入り込み自由競争に
なれば、安全がおろそかにされるのは、一昨年の尼崎でのJR事故を始め、最
近のスキーバスの事故、国内線航空機の事故・トラブルをみれば明らかであり
ます。
 私たちは、交通機関については安全を第一とした必要な規制を行い、無制限
な「自由競争」でなく安全性をこそ競わせることが政治と行政の責任であると
考えます。
 私たち中小旅行業者は、地域で日常的にお客様の顔と名前が一致する、いわ
ゆる「お得意様」を対象にした仕事をしております。望まない「過当競争」の
もとで、ご満足をいただきふたたびリピーターとなっていただくには、何をさ
ておいても安全と安心の旅を提供することが、建前でなくひとつ一つの仕事を
通して絶対的に求められています。
 そのためには、個々の業者において、交通機関や宿泊施設の選択には、安全・
安心の視点で十分な注意を払いつつ、価格競争の影響下で受注するために必要
で適切な仕入・価格政策も個々で展開しております。私たちの経営は、利用者
の本当の利益、とりわけ安全を第一とする営業、経営の姿勢を貫かなければ成
り立たないのです。
 中小旅行業界は、航空運賃や貸切バスの運賃などに対する支配力を全く持っ
ておりません。私たちは、交通機関等に関する「規制緩和」を求める必要も意
志も、かつても今も全くありません。これまでの「規制緩和」が一体誰のため
に、何のためになされてきたのかについては、十分に検証されて然るべきでし
ょう。
 「規制緩和」のいろいろな分野で弊害が明らかになりつつある現在、中小旅
行業者として、改めて交通運輸分野における「規制緩和」の見直しを求めるも
のであります。
 同時に、選挙戦においても大きな争点の一つとして、各候補者陣営に取り上
げていただき、それぞれの「政策・主張」を展開されることを期待するもので
す。

連絡先  兵庫県旅行業協同組合  電 話 078−351−2966
          F A X 078−351−2256