街道を行く旅カスバ街道(モロッコ)

KokusaiTourist2009-03-26

(業界メディアトラベルビジョンより)
城塞が点在する道

 北アフリカ西部に広がる国モロッコマラケシュのスーク(市場)など、アラブの雰囲気が漂うエキゾチックなスポットが知られているが、アトラス山脈南側を走る「カスバ街道は、モロッコ観光のハイライトのひとつだ。
 
「カスバ」とはアラビア語で「城塞」という意味。日干しレンガで造られた、文字通り城のような建物で、この街道に沿って点在する村々で土色の立派な建物を目にすることになる。人が住んでいる建物もあれば、手入れされず崩れてしまっているものもある。乾燥した大地に建つカスバは、世界中から多くの観光客が集まるほど絵になる風景。カスバ以外にも突然現れる緑のオアシスや迫力ある渓谷など、見どころ満載の街道だ。
 アトラス山脈南側に沿ってワルザザートからエルラシディアに東西に延びる約300キロのカスバ街道は、昔から交易のために使われてきた道。訪れる人はバスや飛行機でアトラス山脈を越えるが、山の北側と南側で一変する風景にまず驚かされる。
 穏やかな地中海性気候の北側に対し、南側は広大なサハラ砂漠に続く、乾いた荒地だ。スタート地点のワルザザートは、フランス軍によって20世紀になってから造られた新しい町なのでさほど見どころはないが、ここから西に30キロメートルほどのところにあるアイト・ベン・ハッドゥは、ぜひ訪れておきたい。ここは日干しレンガの高い城壁の中に、複数のカスバが集まった城塞都市。モロッコ有数の美しい村といわれており、これまで数多くの映画のロケーションがおこなわれてきた。美しいだけでなく、その歴史的、建築学的な価値も高く評価されており、1987年には世界遺産に登録されている。
オアシスや砂漠の地平線など自然や地形美にも注目

 このルートはツアーに参加して移動するのが一番だが、欧米の旅行者はレンタカーでドライブしている人もいる。またバックパッカーは村と村をつなぐ乗り合いのバスやタクシーを利用して、ゆっくりと街道の景色と人々の生活を眺めながら旅行している。沿道の町や村には宿泊施設が整っており、旅行者のスタイルにあった旅ができるのが、この街道の人気の理由だろう。
 街道にある大小のカスバの見学と並んで、このルートでぜひ訪れたいのが、途中にある町ティネリール郊外にあるトドラ峡谷。垂直に切り立った300メートルの断崖の谷底から迫力の景観が楽しめる。またティネリールのオアシスにも足を運んでみたい。ゴールのエルラシディアの町にはそれほど見どころはないが、さらに車で1時間30分ほど南へ足をのばせば、
サハラ砂漠へのゲートウェイの町エルフードに着く。この町の郊外で、地平線まで続く砂漠の壮大な風景に出会うことができる。