“世界から核兵器をなくそう”

KokusaiTourist2009-07-29

オバマ米大統領の呼びかけ―を旅行業界は歓迎します


2009年7月 兵庫県旅行業協同組合
 オバマ大統領が核兵器を世界から無くそうと4月にプラハで呼びかけました。核大国アメリカの大統領として初めての画期的なことです。核爆弾を投下した唯一の国の道義的責任として…の言葉も添えて。衝撃的なニュースは瞬く間に地球を駆け巡り、世界各地で大きな反響を引き起こしています。
 1945年広島・長崎は人類史上初めて原爆の悲惨な被害に見舞われました。そして、54年のビキニ環礁での水爆実験の犠牲をきっかけに立ち上がった原水爆禁止運動は燎原の火の如く世界中に燃え広がりました。米大統領の呼びかけの背景には、オバマ氏の核廃絶への信念とともに、こうした粘り強い運動があったのは確かでしょう。
 いま世界の中でアメリカの行動が、イラクやアフガン、ソマリアで、あるいは沖縄、グアムで、大統領のこの呼びかけとの矛盾がないわけでは有りません。しかし、呼びかけから3ヶ月、大統領の核廃絶に関する言動には真摯さを感じさせます。
 この呼びかけの実現には大統領1人の言動だけでなく、世界の国々、人々の声と行動こそが大事であることは明らかです。米ロ間で核削減の合意ができ、サミットでは世界から核兵器を無くすことが掲げられました。
平和でなければ成り立たない旅行業界は、オバマ大統領の呼びかけを心から歓迎します。そして、その後の世界の変化にも大いに励まされ、核兵器を無くし、安心して旅が楽しめる平和な世界をつくるため私たちも力を尽くすことを表明します。
 
兵庫県旅行業協同組合は、これまでも2003年にイラク戦争反対の態度を表明し、組合設立30周年の2006年に日本最初のノーベル賞受賞者湯川秀樹博士が核廃絶の決意を込めて詠まれた“まがつびよ ふたたびここにくるなかれ 平和をのぞむ人のみぞここは”の詩を広げる会を立ち上げました。博士生誕100年の翌07年8月6日にはこの詩碑がある広島平和公園へのツァーを組織し、湯川スミ夫人からこの詩の曲付けを依頼された諏訪あいさん(元宝塚ジェンヌ)とともに、詩碑の前で核廃絶の願いを天国の博士に届けとばかりに歌い上げました。

 核保有大国が「核不拡散」を呼びかけるという「核軍縮」のこれまでの矛盾も浮かびあがってきています。イギリスでは核廃絶の世論が過半数を初めて上回りました。世界の著名人が個人として核廃絶の意思表示をする動きも連鎖的に広がっています。世界的なデザイナーである三宅一生氏が自らの被爆体験を明らかにしオバマ大統領の呼びかけに呼応したのもその一つであり世界に感動を与えています。物理学でも平和運動でも湯川博士の薫陶を受けたとされる、昨年のノーベル賞受賞者益川敏英氏をはじめ、元官房長官野中広務氏、野球解説者の張本勲氏も核廃絶憲法9条問題で積極的に声をあげています。
 唯一の原爆投下国であるアメリカ大統領の道義的責任を踏まえた呼びかけがあったいま、「核抑止論」と「核の傘論」を有害、無力なものにしなければなりません。北朝鮮の核実験を理由に核保有の必要性を説く政府高官、与党幹部もある時、人類と共存できない核兵器は即時廃棄しかないという声を上げ、核廃絶のリーダーシップを発揮し、人類、地球にとっての崇高な責務を果たさなければならないのは被爆国日本の政府とそれを支える世論です。私たちも旅行業界から引き続き声を上げていきたいと思います。ご一緒に旅の安心、世界の未来をつくるために。