ただいま722自治体!

各地の議会に向けて、「協同労働の協同組合法」法制化を求める意見書活動が、全国規模で取り組まれています。
 現時点で、722の自治体(市町村、都道府県)で意見書が採択されております。12月には、東京都議会も全会一致で採択されました。

協同労働って何?
 「協同労働」は聞きなれない言葉で、具体的なイメージがわかないかもしれません。簡単に言うと、「協同で出資・協同の経営で働くこと」ですが、実際はこれだけではなくもっと強い「思い」も込められています。
 「人間らしく働き続けたい」という願いをもつ仲間・市民が集い、みんなで出資して仕事をつくり出し、みんなで経営に参画し、人と地域に役立つよい仕事に取り組む。この具体的な思いが加わったものが「協同労働」の理念です。
 日本でも、ワーカーズコープやワーカーズコレクティブなどの形で、全国各地で「協同労働」による働き方の実績が数多くあります。
 世界各国では、この「協同労働の協同組合」は市民に認知された形で活動をしていますが、日本の場合、適切な<法人格>がないため、NPO法人や企業組合法人などの法人格を使い、「協同労働」の精神のもと、活動しています。本来的な意味から、「協同労働」の理念にあった「協同組合」制度になるよう、法人格の整備が必要です。
今、「労働」の環境が多様化し、厳しい条件での「労働」も増えてきています。この「協同労働」が若年雇用の問題やワーキングプア対策としての注目を集めておりますが、単に雇用の場の確保というレベルではなく、労働の環境を強く意識し、自分たち自身がその解決に取り組む姿勢が「協同労働」のベースにあります。


「協同労働」のもうひとつの特色
 「協同」という言葉には、多くの思いがこめられています。
「協同」で出資し、「協同」で経営し、「協同」で働く、という<形態>としての意味。お客様や地域の人たちなど、かかわる人たちと広く「協同」の関係をもって仕事を進めていくという、<公益>的な意味。
また、同じ志を持つ他の協同労働の協同組合と「協同」していくという<横の連携(連帯)>的な意味。
 法制化の要望では、この<横の連携>の方法として、「非営利協働基金」という具体的な提案をしております。
これは、各協同組合法人が、事業で出た剰余の一部を、働く意思のある者の就労の創出・確保等や、労災事故などに備えるため、協力しあって積み立てを行う こととしています。
個々の協同組合法人の事業によって発生する剰余が(あったとして)わずかでも、連携しあうことで、ある程度の規模の基金が創設できます。
みんなで連携することで、スケールメリット(規模効果)を出し、規模が小さいことへのリスクを回避する仕組みを考えています。


なぜ、法人格が必要?
 「協同労働の協同組合」の法制化を目指す目的は、上に書いた「協同労働」の理念による活動を、<法人>という形で社会的に認めてもらうことであり、また、広く市民の皆さんにこの活動を認知してもらう中で、今以上の広がりのある活動にしていくということです。
逆な言い方をすれば、この法人格ができることで社会的な信用が得られ、理念にそった活動方針のもと、様々な市民が<仕事>として事業を起こし、地域で活動していくことができます。

NPO法人との違いは?
 NPO法人も公益性が強い、非営利の活動をしていますが、そのベースは、ボランティア(有償、無償)です。
「協同労働の協同組合」の場合、継続性のある<労働=対価をお金でもらう>により、そのミッションに取り組みます。
 事業性の強い仕事をしているNPO法人も、かなり増えていますが、むしろこれらの法人の多くは<労働を通じて、公益性を求めている点>で協同労働の協同組合の理念に近いものがあるように思います。
 また、活動する人たちの組織へのかかわりで見た場合、NPO法人は、参加する人(構成メンバー)に出資の規定はなく、ボランティアベースでミッション達成を目指す<かかわり方>となりますが、協同労働の協同組合では、参加する人(組合員)は、お金を出し(協同で出資)、労力を提供(協同で働く)という、積極的なかかわり方となります。
このようにお互いの組織が目指している姿には、違いがあります。


企業組合法人との違いは?
 企業組合法人も、組合員が資金と労働力を持ち寄り、事業を始められるなど形態は極めて似ています。ただ、お互いの組織(法人)が目指す目的と、細部の仕組みは、まったく違うものです。
現在も、「企業組合法人」として、協同労働の精神でワーカーズコープやワーカーズコレクティブを運営している例もありますが、本来、企業組合法人の目的は、事業の<始めやすさ>や、企業組合どうしの<相互扶助>などを目指しており、例えば、事業拡大(成功)のあかつきには、株式会社などへの移行もできることや、いかに事業を成功させるかという発想から、外からの労働力(企業組合が人を雇用する)を利用することも可能となっており、<気軽な起業>と<企業組合法人法人の経済的な発展>を目掛けています。
 協同労働の協同組合は、人間らしく働き続けたいという「就労」活動の実現と、人と地域に役立つ良い仕事をしてゆくという目的を目指しており、形態は似ていても、お互いの組織(法人)の厳密な意味での役割には大きな違いがあります。