旅行需要の動向は…?

アクセスランキング、1位はゴールデンウィーク予約−
web版業界紙トラベルビジョンより [掲載日:2011/04/09]
 今週は、ゴールデンウィークの海外旅行予約動向についての記事が1位になりました。各社とも震災の影響を受けて予約が落ち込んでいるようですが、一方で会社によって好調な方面、分野もあるようです。需要回復に至る過程では、まずは取りこぼしをせずに需要を摘み取ることが重要になるはずですから、皆様の、特に被災されていない皆様のご活躍が大いに期待されます。

 また、3位には大手旅行会社各社の入社式での社長訓示が入りました。例年人気の高い記事ではありますが、未曾有の危機の中で入社する新人たちに、社長たちが何を語りかけるのかに興味が集まったのではないかと思います。社長たちの言葉はそれぞれ異なりますが、概ね「厳しい状況下だからこそ若い力を発揮せよ」に集約されそうです。明快なメッセージであり、異論の余地もありません。経営者の皆様には是非、次世代の旅行業を担う若者たちが力を発揮しやすい環境づくりを進めていただきたいと思います。

 その意味では、若い社員たちが海外に行く機会をできるかぎり増えればと願っています。FAMツアーやトレードショーで現地を知り、サプライヤーと交流し、同業他社の参加者に刺激を受ける――お客様より知識が少ないこともある現状において、こうした経験がどれだけ彼らと会社のためになるか、長期的視座で捉えていただきたいところです。

 実はこの原稿は、オーストラリア政府観光局(TA)の主催によるトラベルトレードショー「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)2011」からの帰国便の機内で書いています。出発前には、余震が続き、原発事故の不安も払拭されない中で職場を、そして日本を離れることの是非を自問自答しましたが、結果として、本当に行って良かったと考えています。

 まず、日本市場が置かれている状況を外から客観視できた点は有意義でした。具体的には後日記事として掲載しますが、冒頭でも触れたようにSITなどの「動く」層をしっかり動かすことで、需要を取りこぼさないことの重要性を再認識しました。それがサプライヤーの期待をつなぎとめる唯一の、かつ確実な方法でしょう。

 また、オーストラリアのサプライヤー側には日本からの参加者が1名も来ないのではないかとの悲観論があり、合計で27名が日本市場から参加したこと自体が強いメッセージになったと何度も聞きました。実際に中国からはバイヤーのみで100名以上が参加して他を圧倒していましたが、日本市場の存在感維持に一役買えたのではないかと思います。

 さらに、業界とは直接関係ありませんが、オーストラリアの大自然に触れ、震災後に心にのしかかっていた不安感や悲観が和らいだことも付け加えておきたいと思います。

 紺屋の白袴と言うべきか、旅行業界は好きなときに好きなように海外旅行に行きやすい業界ではありません。しかし、需要の短期的な回復も望めず、営業活動の範囲も限られているわけですから、国内の状況に悲観しがちな今こそ、外に目を向けられる人材を育成するチャンスであるはずです。せっかく期待を込めて招待されているのであれば、どんどん送り出してみてはいかがでしょうか。もちろん若い皆様にも、優待料金などを活用し、なんとかやりくりして海外に行く情熱は失わないでいただきたいところです。

 なお、先週から皆様のメッセージを掲載し始めていますが、すでに多くの反響を頂戴しています。Facebookが革命を起こす時代ですから、1人の声が業界の進化につながる可能性も十分あります。長くなくても結構ですし、文章が苦手でもお手伝いしますので、皆様もぜひご投稿いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします!(松本)