原発から“一番近い”福島県の旅行会社社長から

web版業界紙トラベルビジョンより
 当社は、福島第一原発から42キロメートルほどはなれている旅行会社です。
多分、ここより近い旅行会社は退避地区に指定され避難しています。風評被害もひどく一時期ゴーストタウンと化しました。新規の仕事はほぼ皆無で、キャンセル作業と返金処理に日々追われています。家屋を流されたお客様や家屋が損壊されたり、親族が行方不明になったお客様もいらっしゃることから、ホールセラー等からの返金を待たずに返金を進めています。

 当社のメインバンクはみずほ銀行でした。ほとんどの通帳が貸し金庫に入っていましたが、地震直後からこの地方の支店が閉鎖され、立ち入り禁止となりました。勿論、貸し金庫を開けられるわけもありません。

 担当者から電話があり、お金が必要でしたら、振込みますといわれ一瞬だけ喜びましたが、50万円までということでした。残高だけでも数千万円あるのに、、、どこの会社で50万円でしのげるのか教えてもらいたいものです。

 気がつくと愚痴だけの文章になりますが、不景気という言葉では言い表せない現実があります。

 退避地区ではないので、国からの補償もおそらくないでしょう。近隣ではいまだに地震後オープンしていない旅行会社もあり、なぜか当社に申し込み金やキャンセルの返金の問い合わせをしにこられる他社のお客様が多数いらっしゃいます。

 同業他社が集まっても愚痴ばかりで建設的な話はまったくでません。また、当地区の車のナンバープレートでは風評被害で差別をされて旅館にも泊まれない、これでは旅行にでかける人もいるはずもありません。海外旅行も近所の目を意識してでかけられないようです。

 こんな四重苦の会社もあることを知ってもらいたくメールさせていただきました。