観光庁、中小旅行事業者の支援拡大働きかけ−訪日旅行はイメージ回復急務

web版業界紙トラベルビジョンより[掲載日:2011/04/18]
 観光庁は今後、関係省庁に対して、観光に携わる中小事業者への支援措置を訴えていく。観光庁長官の溝畑宏氏は4月15日の定例会見で、厳しい業界環境について触れ、「観光は非常に裾野が広く、地域経済に大きく関わっている。関係省庁を挙げて、観光に携わる中小企業者の支援措置について協議してほしい」考えを示した。

 特に、中小企業庁に対しては、第1次補正予算案で公的融資や信用保証の枠の拡大を含め、迅速な対応を働きかけていく方針だ。また、原発事故に関する賠償について取り決める「原子力損害賠償紛争審査会」で、観光産業の被害や現状を説明して何らかの手当てを要望するなど、積極的な働きかけを進めていく。

 溝畑氏によると、国内旅行の3月の実績は、震災前の1週間と比較すると震災後では20%から40%減少。4月や5月の予約状況も前年比20%から45%減となっているほか、宿泊施設でも約56万人のキャンセルが発生しているという。溝畑氏は、国内旅行が危機的な状況を脱するため、「まずは観光産業全体のモチベーションをあげること」が重要であるとし、「積極的な営業と効果的な広報をとにかく心がけてほしい」と観光業界に訴えた。

 また、需要回復への働きかけとして、4月21日に日本観光振興協会が主催する東北復興支援の集いに参加。被災者に哀悼の意をあらわすとともに、震災復興に向けた観光面での支援、全国的な観光の活性化をはかる。溝畑氏は、「ゴールデンウィークは日本国民挙げて皆で日本の旅行を再認識し、元気な日本にむけて動こう」という空気を作っていきたいとし、需要回復に向けて日本全体の観光の活性化を促していく姿勢を示した。

▽インバウンドは安全、安心のイメージ回復が急務−海外メディアの招聘も
 溝畑氏は、インバウンド需要の減退に対し「安心、安全、イメージの回復が急務」とし、海外諸国に対し引き続き正確な情報の提供を実施していく方針を示した。具体的には日本政府観光局(JNTO)のウェブサイトの活用や、海外訪問による情報提供を実施。海外メディアの招聘も、タイミングをはかりながら積極的に行なう方針だ。自治体と協力のもと、説明会の実施も検討しているという。

 また、訪日ツアーの参加者に対してウェルカムメッセージを配布したり、キャンセルや延期が発生している国際会議について、主催者に開催を訴える文書を長官名で送付する取り組みも実施している。

 このほか、諸外国に日本の状況を説明し、安心、安全を訴えるメッセージの発出も準備。観光庁やJNTOのウェブサイトに掲載するほか、JNTO海外事務所や大使館を通じて海外へ訴求していく方針だ。



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