嵐山のミニ水力発電

KokusaiTourist2011-05-14


京都新聞“凡語”転載
 夕暮れとともに京都・嵐山の渡月橋は、ほんのり柔らかい明かりに包まれる。歩道に並ぶ60基の小さな常夜灯が一斉に輝き始める。ライトアップというには控えめで優しい演出だ▼明かりの電力源は、橋から100メートルほど上流にある桂川の「一の井堰(いぜき)」に据え付けられた水力発電装置だ。といっても大仕掛けではない。小型の発電機と水車を組み込んだだけのミニ装置。説明されなければ見過ごしてしまうほどだ▼約1・7メートルある井堰の落差を利用して発電し、最大出力5・5キロワットの能力を持つ。驚かされるのは、電力会社ではなく、地元の観光関連業者らでつくる嵐山保勝会が設置、運営していることだ▼いわば電力の“地産地消”。保勝会水力発電担当理事の吉田憲司さんによれば、河川管理などの難問を1年以上かけて関係機関と調整し、6年前に発電を実現した。維持管理費は余剰電力を売って賄っている。大雨で水没しても設備はほとんど故障したことがないという▼福島第1原発事故後、太陽光や風力とともに、ダムがいらず、低コストで安定的な発電が見込める「小水力発電」への関心が高まっている。一級河川で全国第1号施設となった嵐山には各地の自治体などから視察が絶えない▼思えば明治時代に、日本で最初の水力発電所が造られたのも京都だ。わが国初の市電はその電力で走った。1世紀を経て再び京都がリード役となり、自然エネルギー活用を発信したい。[京都新聞 2011年05月12日掲載]


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