全労連が原発廃止提言

KokusaiTourist2011-05-22

0000000自然エネルギーへの転換主張

原子力発電所への対応についての全労連の政策提言(案)
原発依存ではなく自然エネルギーへの転換を

はじめに〜「フクシマ」を世界が注視
1.東日本大震災津波による被害は、犠牲者の多さ、被災規模の甚大さ、日本と世界の経済への影響などからわが国がかつて経験したことのない未曽有の災害となった。
 さらに同時に起こった福島第一原子力発電所の全電源喪失炉心溶融メルトダウン)、大量の放射性物質の外部放出という深刻な事故は、歴代政府と電力会社が「絶対安全」と主張してきた原発の危険性を曝け出し、国際原子力放射線事象評価尺度(INES)で最悪の旧ソ連チェルノブイリ原発事故と並ぶ「レベル7」の事態となった。爆発によって原子炉建屋上部が吹き飛び、被曝を恐れながら放水する消防隊、タービン建屋で作業中に被曝し病院に搬送される作業員、放射能に汚染され海面に漏れ出す水、関東全域で測定される放射能など日本と世界の人々が恐怖とともに固唾をのんで「フクシマ」を注視する事態にもなった。
農産物や魚類、土壌の放射能汚染、周辺住民の避難生活の長期化など、いまだ激烈に進行中の原発事故を収束できるのか、確たる見通しも立たない中で国民は不安と恐怖に陥れられている。
2.今回の福島原発重大事故を経験した国民意識を踏まえるなら、原発依存のエネルギー政策からの脱却を正面から提起し、根底から見直すことの重要性は論をまたない原発・化石エネルギーに依拠した政策から自然に順応したエネルギー政策に転換させ、深刻な原子力災害を回避しつつ地球温暖化を阻止する方向へと一日も早く転換させなければならない。
  全労連は、福島原発の重大事故を契機に、①原発の安全性、②自然エネルギーの可能性と安定供給、地球温暖化問題、③原発従事労働者の作業環境、④「24時間型」社会のあり方などを踏まえた検討を行った。その結果、原子力中心のエネルギー政策を転換し、原発の新規建設・稼働の中止はもとより危険性の高い原子炉から順次廃止していくことを提起することとした。それは、福島原発事故に関わる膨大な被災者と次世代に対するわれわれの重大な責務であると考え、以下明らかにする提言について幅広い労働者・国民の積極的な議論を呼びかけるものである。

1.現存する原発の廃止とそのプロセス
  福島第一原発事故の早期収束をはかる。現存するすべての原発について廃止の方向を打ち出すこととし、そのためのプロセスは、①新規建設・計画の中止、②浜岡原発の運転終了、③プルサーマルの中止、④旧型原発の運転終了、⑤残されたすべての原発の運転終了とする。これらを、時期を区切って早急かつ計画的に実施することを提言する。

2.原発からの脱却、自然エネルギーへの転換の道筋
  電力の供給は、原発から脱却し太陽光や水力、風力、バイオマス地熱発電などを利用した自然エネルギー中心へ計画的に切り替える全労連は、エネルギー政策の戦略的転換に向け、期限を切った検討を開始するよう提言する。

3.長時間労働の是正、大量消費、「24時間型社会」の根本的見直し 
  異常な長時間労働の是正、夜間勤務の規制をはかる。企業主導の「24時間型社会」ではなく、仕事と生活の調和を図り、日本社会、経済・政治のあり方の根本に立ち返った見直しによってディーセントワークを実現し、原発から脱却して安心して生き働くことの出来る社会へ向けた取り組みの強化を提言する。

4.原子力行政の在り方について
  電力業界と政府・経済産業省との癒着構造を断ち切り、行政と監視体制の中立・公正性を確保し、「公開」の原則を貫くことを求める。原子力・安全保安院原発の規制を委ねるのではなく、原子力安全委員会を政府から完全に「独立」させ、必要な権限を与え専門的役割を果たさせる。途上国などへの原発の売り込み、技術輸出を中止し、安心・安全で持続可能な社会実現へ国際的イニシアティブを発揮することを提言する。

1.原子力安全委員会の独立性の確保と権限の強化

2.途上国への原発売り込みの中止

おわりに〜ディーセントワークの実現を
  大震災後、日本人の意識も変化した。被災地へは大量のボランティアが派遣され「何か出来ることがないか」、国民は心をくだいた。この国の新しいステージに向け、めざされるべき社会を真剣に考えている。それは、誰もが安全・安心にくらせる社会であり、雇用・労働の面からは「真面目に働けば、安心して暮らせる」社会でなければならず、このような方向は社会の真の復興のための不可欠な要素とも言える。仕事と生活の調和を図るためにILOが提起し、全労連が全国的な運動として具体化してきたディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現、雇用の安定と社会保障拡充による「福祉国家」をめざすことは、震災・原発被害後の日本再生の努力のなかで一層強く主張されるべきものであり、原発に頼らないで安心して生き働くことの出来る社会へ向けて、すべての労働者・国民の取り組み強化をよびかける。
以 上

全文は http://219.166.38.179/fdl/index.aspx
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労働者協同組合 国際ツーリストビューローは、提言に賛同します。