太陽光ボイラーで…

KokusaiTourist2011-05-31

神戸新聞より転載
 太陽光を利用して水を沸騰させる「太陽光ボイラー」を兵庫県播磨町の福寿喜寿郎(きじゅろう)さん(64)らエンジニアグループが開発した。何枚もの鏡を使って太陽光を集中させる仕組みで、日曜大工程度の簡単な作業で製作可能だ。運搬しやすいよう小型化した装置を製作し、6月初旬に東日本大震災の被災地、宮城県陸前高田市で被災者に入浴施設を提供する計画を進めている。(中部 剛)
 福寿さんは明石高専の卒業生で、機械設備会社「JFEメカニカル」の元社員。米ハワイ島の「すばる望遠鏡」などの製作にかかわり、退職後は明石高専の卒業生仲間とともに勉強会を続けてきた。その中で「太陽光ボイラー」の開発が持ち上がった。
 昨年冬、試作機を製作。市販の水道パイプ(外径16・5センチ、長さ5・5メートル)を黒く塗装し、10センチ×1・2メートルの細長い64枚の鏡で太陽光をパイプに集中させた。パイプは東西方向に置き、64枚の鏡の設置角度をそれぞれ変えることで、反射光が長時間パイプに当たるよう工夫した。
 4月になって姫路市内で実験したところ、気温15度で、パイプ中の100リットルの水は約2時間で沸騰した。製作にかかった費用は十数万円だった。福寿さんは「生水を煮沸することで、アフリカなど途上国で安全な水を提供することができる。しかも製作方法は簡単だ」と自信を見せる。
 例えば昼間に温めた水を夜に循環させることでビニールハウスを暖められるといい、今冬から実験を始める。
 曇天では沸騰せず水が温まる程度だが、福寿さんは「クリーンで安価な装置。原発事故で自然エネルギーが注目される中、ほかにも用途を広げられる」と話し、活用方法を検討している。