関西電力株主総会への質問

2011年6月16日
関西電力株式会社御中
 第87回定時株主総会への文書による質問書
 NPO法人エネルギー未来を考える市民株主と仲間の会
 合意を表明する個人株主一同

 標記について、総会議案に関しいくつかの文書による質問を下記のように提出しますので、具体的かつ詳細にお答え下さるようお願いします。
質 問
【「原発安全神話の崩壊」、電力会社の社会的責任(CSR)】
Q1,
  福島第一原発事故は、「多重防護で絶対安全」の上にECCSありとしてきたにも関わらず「冷やす、閉じ込める」ことは大震災から2ヶ月半経過しても収束の目途は立っていません。原発推進企業として「安全神話の過ち」を株主総会の冒頭に謝罪表明すべきで、二度と「過ちを繰り返さない」との決意を述べて下さい。
Q2,
  原発最優先方針に対し、毎年の株主総会原発に反対、もしくは批判する人を罵倒する「総会屋もどきの動員株主」を、本株主総会で即退場を促すとともに、今後完全になくすことを表明して下さい。
Q3,
過去電事連会長を何回も引き受けてきた経過から考え、東電の損害賠償への連帯責任は当然発生します。これも含め、電力株価低下による株主への実質的損害をどのように保証するのですか
Q4,
原子力発電はもうご免だ」の世論は圧倒的です。大広告料を使い「当面策」を発表しましたが、美浜1号はじめ1970年代建設のプラント・機器は蒸気発生器交換の有無に関わらず、廃炉方針に転換すべきと思いますが明確にお答え下さい。
Q5,
  「関西電力としては政治献金はしていない」と言いつつ各役員同額に統一して自民党献金し、「原発優先」を自民党とともに推進してきました。この私たちの指摘に、今回いっせいに献金を止めましたが「なんらかの意思統一」してきたことを逆に証明したのではありませんか。昨年の回答を撤回し、改めて政治献金は一切しないことを表明して下さい
Q6,
今回東電トップたちの高額報酬に世論はびっくり。他企業でも高額収入役員報酬の公開が進んでいます。いくつものグループ会社の役員を兼務する当社執行役員全員は、ひとりづつその収入内容を公開するのが社会的責任ではないですか。
Q7,
  精神障害病は大企業で蔓延する国民病となり自殺者3万人の多くを占めるようになりました。関西電力も同様なのに本店・労組本部間の安全衛生委員会は、こうした増大する精神障害欠勤者数をなぜ隠すのですか。早期対策や治癒出来ず無念の退職にならぬよう「特別休職制度」をつくるべきとは考えませんか。
Q8,
  「CSR・社会的責任」に関する全社員意識調査は「自己責任論」にすり替える重大な過ちです。むしろ執行役員以上に、自らが行った一年の業務遂行内容の、自己点検報告書を全社員と株主総会に報告するよう切り替えるのが真のCSRです。明確に反省意見を述べて下さい。

地球温暖化防止・CO2排出量問題】
Q9,
まもなく出されるIPCC第5次報告で2010年来の「異常気象」原因も含め発表されます。年間CO2を約5000万㌧排出している企業として、この「異常気象」についてどんな見解をお持ちですか。
Q10,
原発事故で一層CO2排出は増加しています。原単位方式に固執せず、融通や購入分も含め発電所のプラントごとにCO2排出総量を削減すべきで、これを情報公開すべきが社会的責任と考えますがお答え下さい。

原子力発電・地震津波への当面の対策について】
Q11,
  福島第一原発に電源車を緊急配置しても地震と水素爆発のがれきで結局なんら意味をなさなかった事実を見ても「高台に配置しました」だけで事が納まるとは思えませんが答えて下さい。
Q12,
  日本海には巨大な津波はこない」「加圧水型は沸騰水型より安全」と職場では、職制が上意下達していますが、依然として「安全神話」を推進するのですか。
Q13,
  長期にわたり、もんじゅは1KWHも発電しないまま、維持費は約1兆円を費やす事態です原子力立国政策・核燃料サイクル政策を考え直す重要な時期が来たと思いますがどう考えますか。
Q14,
  関電の美浜と大飯原発へは、大きな橋で入って行きますが、巨大地震で橋が崩壊したときはどんな対応をとるのですか。
Q15,
  関西電力の耐震指針はホームページによりますと3クラス(S、B、C)とあります。一方、電気事業連合会が発行の原子力2010[コンセンサス]では原子炉建屋、タービン建屋、その他の3区分になっています。建屋間を連携・接続している各種の配管類はどのようなクラスになるのか具体的に示して下さい。

原子力発電供給、中心主義について】
Q16,
  最新の供給計画によると、総発電電力量に占める原子力発電量は平成22年の推定実績は43%、平成32年度には50%となっている若狭湾付近で大地震が発生し、原子力発電所群が一斉に緊急停止した場合、供給電力不足になって大規模停電が発生する可能性について、どういう「想定」をしてるのか答えて下さい。

スマートグリッド問題について】
Q17,
 送電(上流)と配電(下流)別々に、また、地域小規模発電の接続についてのスマートグリッドについて、関西電力としての考え方を述べて下さい。
Q18,
 スマートグリッドは、地域分散型自然エネルギー電源と既存システムとのITによる結合となるでしょうが、全国的標準化しないと役に立ちません。関電のスマートメーターも、先行は良いとしても、結局ガラパゴス化となる危険性も持っています。もっと、全国的なあり方で調整・統一すべきと考えますかどうですか。

【地域社会課題、共生問題など】
 ー中略ー
 
オール電化問題】
Q22,
 一時実施された東電の「計画停電」で「オール電化住宅」による生活は、くらしに混乱を招きましたが、関電は今後も推進するのですか。ロスの多い二次エネルギーの電力ではなく、家庭では一次エネルギーも含めた「ベストミックス」に切り替えるのが、企業としての本当のサービスの筈ですが答えて下さい。
Q23,
  関西電力グループCSRレポート2010では、①エコキュートの設置口数は2009年度末時点で40.3万口、②電気給湯器を利用のご家庭は2010年3月末で107万軒とあります。つまり電気温水器は66.7万軒導入されていることになり、エコキュートが増加していても、電気給湯器による省エネ・CO2削減効果については「総量」では貢献していなかったことになります。CO2排出量が多い機器を削減しなければ総量は少なくなりません。企業経営で赤字部門の縮小を図るのと同じことです。
「誤解を与えるPR」が電気温水器の導入を促進したのですから、その撤去に掛かる費用は間違っても電気料金の原価には入れないようにして下さい。

【インフラの老朽化、事故頻発】原発をのぞく)
 ー中略ー
【グループ従業員全体の労働条件向上】
Q27,
 昨年も答弁を求めましたが無視されました。「成果型賃金制度」の欠陥は社会的にも問題視されてきています。関電本体の一般従業員の場合、基準本給でS1〜S4のステージがありますが、それぞれの従業員数を発表して下さい。
Q28,
 現在、第一福島の「冷やす、(放射線を)閉じ込める」作業に数千人が、250ミリシーベルトを上限に決死の作業を行っています。これら第一次から第七次請負労働者と言われている膨大な人々について、関電の場合の実態を数値で公開して下さい。さしあたって、各原発の号基ごとの定検時人数、一人あたりの賃金実態、各次協力会社・下請け実態を公開して下さい。
Q29,
 厚生労働省は先頃、年金支給年齢65才に鑑みて、各企業が65才までの定年延長の実現を示唆しています。関西電力は何年度から「賃下げなしの定年延長」を実施するのか、その方向を明確に示して下さい。
Q30,
 どこの事業所も慢性的な人員不足となっており、その上に監督官庁指摘による欠落していた仕事も増加し、現場では早朝や休日にも出勤し、PCのLAN電源を切って、早朝や夜間に仕事をせざるを得ないほど過密労働だとのうったえを多く聴きますので、その対処方法を答えて下さい。。
以上は総会での口頭による回答だけでなく、後日文書でも回答されるようお願いします。
以上