たび/長野・高峰温泉と池の平湿原/快適な雲上風呂/高原植物めでる

KokusaiTourist2011-08-05

しんぶん赤旗より
高峰温泉の雲上露天風呂は前方にさえぎるもののない眺め
 涼しい夏をと思い、高原ハイクと展望温泉の旅を計画しました。
 浅間山の西方にある高峰温泉(長野県小諸市)と池の平湿原(長野県東御市)は、標高が約2000?あります。気温は平地より10度以上も低く、快適な高原です。高峰温泉に宿泊し、翌日に池の平湿原を歩くことにしました。高峰温泉主催のガイド付き池の平湿原自然観察会に参加できるからです。
 高峰温泉は「ランプの宿」で知られ、眺めのよさでも人気の一軒宿です。温泉は硫黄分を含み、やや白濁。日帰り客も500円で入浴できますが、宿泊者は専用の眺めのいい内風呂と、山の稜線に作られた野天風呂に入れるのが魅力です。野天風呂からは満天の星や小諸市街の夜景が絶景です。また夕食後に星の観望会や温泉療養講座を開催し、誰でも自由に参加できます。
 翌朝、宿を9時ごろに出発し、車で池の平湿原へ向かいました。歩くと1時間ほどの距離で、夏季の土・日曜、祝日は高峰温泉からシャトルバスもあります。
 この日のガイドは、高峰温泉主人の後藤英男さん。歩き始めると間もなく、ミツバオウレンの花を教えてくれました。細く白いガクをいっぱいに伸ばした清楚な花です。続いてイワカガミ。ピンクのよく知られた代表的な高山植物のひとつです。うかうか歩くと気づかない花を、後藤さんは次々と教えてくれます。
 池の平湿原は数万年前に噴火した三方ケ峰火山の噴火口といわれています。水がたまって周囲を火口壁が取り囲んでいましたが、火口壁の山体崩壊によって埋まり、湿原となりました。
 北側の火口壁上は、見晴歩道の名がある展望コース。カラマツの樹林帯をゆるく登ると、眺めのいい村界の丘に着きました。湿原を見下ろし、東に頭が見えるのは浅間山です。
 周辺の木々は、枝がやや下向きに伸びていました。「積雪で下がってしまうんです」と後藤さん。夏でも冬の様子がわかります。
 林間を下ると足元はマイヅルソウの大群落。雷の丘を越えると8月にヤナギランが咲く一帯です。最高地の雲上の丘は標高2110?。北アルプスや富士山も見える大展望です。岩陰でヒカリゴケを見たり、コマクサの多い岩れき地帯を経て湿原に下りました。
 湿原の夏の主役はアヤメで、紫のじゅうたんのように広がります。火口壁に囲まれた原は静寂の空間。ヒューヒュルルと上空で鳴くイワヒバリの声が夢のように聞こえました。
 帰路は高峰温泉に戻り、温泉で疲れをいやします。 土井正和