【原発賠償中間指針】対象、範囲まだ不十分

福島民報8月6日『論説』から
文部科学省原子力損害賠償紛争審査会が東京電力福島第一原発事故の損害賠償に関する中間指針を五日に取りまとめた。賠償範囲や基準を示す。国が支援する枠組みや、東電に代わって半額以上を立て替える法律もようやく成立した。まずは、事故で苦しむ被害者への支払い体制を早急につくってほしい。
 しかし、県民からすれば依然不十分で、多種多様な被害を救済するには程遠い。今後、実情に即した対応をさらに探るべきだ。また、従来の発想から脱して、地域の損害を対象にする補償策を考える必要がある。

中略
避難に伴う費用は特定避難勧奨地点の住民にまで認めたものの、基準値以下の地域からの自主避難は先送りされた。確かに線引きは難しい。とはいえ、事故が起きなければあり得なかった行動だ。放射線量のわずかな違いで賠償の有無が分かれる事態もあり得よう。東電への直接請求や審査会への仲介申請、裁判所への提訴が相次げば、解決や補償の遅れを招く。
 県民の大半が震災前の居住地に踏みとどまって暮らす。大なり小なり不安やストレスを抱えており、長期間に及ぶ。避難者と同様に被害者といえる。何より、事故によって人と人のつながりや地域の絆、郷土の文化・伝統など、本県が有形無形の打撃を受けている。現状では賠償の対象外となりかねない。
 個別の被害を埋めるだけでなく、県や地域全体の救済を求めたい。国の支援は当然としても、最終的に国民の税金を使うことになる。最大の責任を負う東電にきちんと償わせるべきだ。

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