脱原発の火をもっと広げよう。

元外務省スイス大使村田光平さんが野田総理に書簡を送りました。
友人からのメールを転載します。
 村田光平(むらた・みつへい)さんという方をご存じでしょうか。
 1996年から99年のスイス大使時代に、「日本のような地震国には原発はふさわしくない」と発言され、結果的に日本の国策に反対したといことで外務省を辞めざるを得なかった方です。
 「原発は日本に合わない」という発言後、半年間に亘って、右翼の嫌がらせなどがあったそうです。
 その村田さんから、次のようなメールが入りましたのでご紹介します。


「発起人として2004年に開始した浜岡全国署名は100万筆に到達いたしました。
11月16日に記者会見を予定しております。
核戦争防止国際医師会議IPPNW。1985年ノーベル平和賞受賞)の世界大会が来年8月広島で開催されますが、このほど私もスピーカーに選ばれました。
福島事故の罪深さが日に日に浮き彫りにされつつありますが、世論が巻き返しを図る不道徳な「原子力独裁」を終焉させるのは時間の問題と思います。
野田総理宛書簡をお届けいたします。


野田佳彦内閣総理大臣殿
                  平成23年10月27日

拝啓
時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 難問山積を前にしての日夜のご健闘に心から声援をお送り申し上げます。
福島原発の地下が「冷温停止」が通用しない大変な状態にあるとの危機意識から内外に発信をしております。取り沙汰される地下でうごめく溶解燃料棒問題は人類未経験の全世界の問題だと思われます。人類の叡智の結集が求められます。
このような状況下での原発輸出推進の動きは倫理の欠如を象徴するものとして内外から慨嘆されております。福島事故の罪深さとその責任の重大さが十分に認識されておらず、しかも十分反省が見られないとする世論は高まりつつあり、今後恐ろしい被害の実態が表面化するにつれ、現状を到底許さなくなると思われます。(ウクライナ政府の発表では、因果関係を医学的に立証することは困難であるものの、チェルノブイリ原発事故関連の疾病被害者は約260万人、このうち子供が62万人となっております)
輸出に関する貴総理の意図表明が至急待たれます。
去る10月5日、法政大学で開催された国際コロキアム(スイスチューリッヒ工科大学と共催)でスピーチを行い、(1)福島事故は近隣自治体、近隣諸国の脱原発志向を強め、真の核廃絶のためのグローバルな運動を生む可能性があること(牧之原市現象)(2)電源と水を断つことにより大惨事となる原発脆弱性が示され核テロの脅威が増大したこと、(3)原発の大幅増設を計画する中国からの黄砂や核テロなどの対策として真の核廃絶を急ぐ必要が生じたことなどを指摘しました。反響を呼んでおります。ドイツ、スイスなど脱原発を目指す国々が中心となり、原発を持たない国々も参加する真の核廃絶のためのグローバルな運動については、去る9月29日、政治協議のため来日したMaurerスイス外務次官ともスイス大使公邸での午餐会で話し合うことができました。新しい努力目標の誕生です。
福島の原発惨事を他地域、他国で発生させないために日本は全力を尽くすべきです。いまだに毎時1億ベクレル(事故当初はその800万倍)の放射能放出に起因する放射能災害の拡大が見せつけつつある原発事故の真相をありのまま世界に伝えることは、日本の責務の筈です。世界もこれを期待しております。核戦争防止国際医師会議IPPNW。1985年ノーベル平和賞受賞)の世界大会が来年 8月広島で開催されますが、このほど私もスピーカーに選ばれました。
国策の名の下に全ての反対意見を封殺してきた「原子力タブー」即ち「原子力独裁」は、これを支えてきた電力会社の資金的基盤の崩壊開始により、終焉に向かい出しました。これから大幅に増えることが見込まれる原発の安全性をめぐる裁判で、これまでのような司法に不名誉な「原告必敗」はなくなると思われます。自然エネルギー開発の飛躍的拡大も望めるようになりました。今や国民の大半が求める送電分離及び総括原価方式の廃止による電力会社の地域独占体制の見直しは、いかに電自連の抵抗が続けられようとも、厳しさを増す一方の世論を前にして不可避になりつつあると思われます。
来年5月頃には全ての原発が停止しますが、安全を保証する国民に信頼される機関が存在しない状況下での再稼動はありえず、日本の脱原発は少なくとも事実上実現する見通しになりました。「天地の摂理」だと思われます。
2004年に始められた浜岡原発の運転停止を求める全国署名運動は、このほど100万筆に到達しました。11月17日に記者会見が予定されております。世論の喚起にいささかなりとも貢献できればと念じております。
貴総理の一層のご健闘とご自愛をお祈り申し上げます。  敬具