消費税増税のウソと欺瞞4

納税義務者とは誰か?1990年判決から
 『法律は、「事業者は消費に広く薄く負担を求めるという」と規定。消費者が納税義務者であることはおろか、事業者が消費者から徴収すべき具体的な税額、消費者から徴収しなかったことに対する事業者への制裁等についても全く定められていないから、消費税法等が事業者に徴収義務を、消費者に納税義務を課したものとは言えない。』
 つまり、事業者は消費者に対する商品やサービスの販売価格に消費税分を上乗せしてもよいし、しなくてもかまわない。消費者の側もまた、購入価格に消費税分を支払ってもよいが、支払わなければならないとは定められていないと
消費税相当分の転嫁の仕方は、事業者の対価等の決定如何に委ねられており、その運用如何によっては、消費者に対する実質的な過剰転嫁ないしピンハネが生じる可能性もなくはない。消費者が消費税相当分として事業者に支払う金銭はあくまで商品ないし役務の提供の対価としての性質を有するものであって、消費者は税そのものを恣意的に徴収されるわけではない。小売商と消費者との間における、消費税とは要するに物価なのだ。転嫁できるもできないも、とどのちまりは売る側の腕次第。
 消費税とは力関係がすべてであり、問題だらけなのは明々白々だけれども、税率も低くて全体的には大したことがないのだし、お国のためだから我慢しろとだけ、判決は言っている。
益税許すまじの訴訟にかかわらず、国としては、矛盾を認めてしまうと、消費税そのものが成り立たなくなる。大蔵省も裁判所も、消費税のつもりで消費者が支払う金額はあくまでも物価の一部であり、益税などという概念は法理論上は存在しないと主張。同じ理屈で事業者の損税の合法をも含蓄させていた。価格に転嫁できるかどうかは事業者の裁量か能力次第、自己責任ということになる。

斎藤貴男著『消費税のカラクリ』より

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