名残雪と桜前線を求めて信濃路をゆく その3

KokusaiTourist2012-05-04

最終日は、朝のうちに別所温泉安楽寺へ。ここには、山本宣治労農党代議士、高倉テル共産党代議士、旅館経営者斎藤房雄の3人の記念碑がある。2006年に訪ねた時には、斎藤氏の碑はなかったがその年の10月に建立されたとある。
山宣が治安維持法改悪反対の国会で演説をしたその夜、右翼に暗殺されるのだが、彼はその4日前に、当時地元の農民運動を指導していた高倉テルに総会に呼ばれ記念講演をした。暗殺を知った農民たちが建立した碑を警察の取り壊し命令の下で、旅館の庭に埋めて38年間守り通したのが、斎藤房雄氏。
別所温泉から車で10分のところに、戦没画学生慰霊美術館「無言館」がある。閑静な小高い丘に佇むその様は、ゆるやかなただ一本の坂道を進む毎に、今から行くところがどんな所かと人を厳粛な気持ちにさせる。
館内の作品をじっくり読み眺めていると、大昔の話しでなくわずか70年前の「時代」がどんなだった迫ってきます。果たしていま、かれら戦没画学生の貴すぎる遺志が生かされているのだろうか…?知らず知らずの間に“軍靴の足音”が近づいているように思います。この美術館の存在をもっともっと広げ、特に若い人達にも訪ねてもらい、これからの自由な生き方を実らせることができる世の中にしなけれゃと思う。
 別所温泉上田市、塩田平をあとに、高速インターに急ぎ帰路につく。GW前半の最終日、渋滞は必至のため、早め早めに動き、6時頃には宝塚インターに無事到着。2泊3日の「骨休みの旅」を終えた。29日のバス事故の大惨事についてはまた、日を改めて関連業界の者として書いてみたい。(T.MATSUOKA)