兵庫震災研が長田拠点に再出発

◎○−震災後18年の活動の拠点を移転−
下記は神戸新聞7月24日付け朝刊記事から

長田拠点に再出発

阪神・淡路」後に発足の研究機関 震災復興研究センター
提言60以上 20年目へ課題と向き合う

 阪神・淡路大震災の発生直後に立ち上がった民間研究機関「兵庫県震災復興研究センター」が、活動拠点を中央区から長田区に移し、再出発した。財政難のため、一時は事務所の存続が危ぶまれたが、空き民家を安価で借りることができた。「人間復興」の視点で被災地のまちづくりや住まい、法制度について提言を続ける同センター。「震災20年」を見据え、残された課題と向き合う。(岸本達也)

 センターは、地震から3カ月後の1995年4月、さまざまな分野の専門家、研究者らで発足した。現在、塩崎賢明立命館大教授と西川栄一神戸商船大名誉教授が代表理事を務める。
 仮設住宅や復興住宅での孤独死、住民の意向に沿わない復興事業など、被災後も被災者が苦しむ問題を「復興災害」という言葉で批判、公的支援の拡充などを求めてきた。発表した提言は60以上、刊行した出版物も15に上る。
 会員は約100人。活動は会費や助成金に頼るが、財政は厳しく、今年に入り、18年間事務所として使った中央区の賃貸ビルの一室を手放すことを決めた。移転先のめどはなかったが、長田区久保町7の空き民家を家主の好意で低家賃で借りられることになった。
 新しい事務所は平屋の2K。広さは以前の約6割に狭まったが、資料など段ボール150箱分の引っ越しを終え、7月に活動を再開した。
 最近は、借り上げ復興住宅の返還問題、今も続くJR新長田駅南地区の再開発事業への対応が活動の柱。東北での被災地支援も続ける。
 「当初は3年が目標だった。18年後の被災地にこれほど多様な課題が残っているとは想像しなかった」と同センターの出口俊一事務局長(65)。「現場に足を運ぶ『研究と実践』がモットー。震災20年に向け、研究成果を全国に発信していきたい」と話す。
 8月31日には、新長田駅南の再開発の問題点をテーマに、新長田勤労市民センターでシンポジウムを開く。震災研究センターTEL078・691・4593