今年も大変お世話になりました。

○○○○−一年を締めくくるにあたって−
 国際ツーリストビューローが株式会社から組織運営の形態を労働者協同組合(労協)に移行して来年4月1日で丸5年を数えます。“労協の法制化”はこの間の複雑な国会状況のもとで、“頓挫”している状況ですが、法制化を求める市民運動は絶えることなく鋭意継続の努力が続けられています。
 当組合は、小企業と生活者にとって厳しい情勢が続くもとで、営業努力と財務改善に知恵を発揮し工夫を凝らして、全体として組織の維持・強化を図っています。
 年初からアベノミクスと呼ばれ、自ら異次元と呼ぶほどの施策で誘導された“円安”は小旅行業者にとって海外旅行の需要減、受注減、利益減と大変な影響を及ぼしています。国内旅行は海外に比べ“好調”とされていますが、我々にとってその実感はとてもありません。
 空ではLCCの台頭が新規参入も含めて際立った1年でしたが、国からたびたび“厳重注意”など処分を受けるなど、異常な価格競争が何を犠牲にして展開されているのかますます疑問と不安は大きくなっています。
 さらに4月から「予定」されている消費増税が実施されるなら、97年の増税以降ずっと右肩下がりの旅行需要が今も続いているという事実を示すまでもなく、こんな消費不況時のさらなる毒薬となり日本経済は大不況に落ち込まざるを得ないのはあきらかです。まして旅行が“不要不急産業”であるなら、いっそう厳しくなるのは目に見えています。低価格競争が当たりまえの時、いわゆる“税の転嫁”などできるはずもなく、小規模の旅行社にとっては自腹を切っての消費税納税となるのは、これまた明らかです。
 JR北海道の安全上の重大な不祥事も、107名の犠牲を出したJR西日本の尼崎での脱線事故の記憶が未だ生々しいもとで、北海道だけではないのではとの不安が、JR各社への“監視”を求める声とともに大きくなった一年でした。
 高速道路では、ちょうど1年前の昨年12月に高速道路事故で最大の犠牲者を出した笹子トンネルの崩落事故が、その年の春に起きた関越道での側壁激突事故とともに、バス運転手の労働強化が状態化した運行や補修が置き去りにされた高速道路の危険な実態を浮かび上がらせました。
 航空、鉄道、高速道などのこれらの現状は、公共交通機関や公共インフラの民営化自身が、また事業参入、運賃の“自由化”といった『規制緩和』が競争激化を招き、絶対に必要な安全対策をいかに疎かにするところまで行き着くかということを証明した1年といえます。
 12月の衆参で「採決」が強行され「成立」したとされる『秘密保護法』の世界では、本来自由であるべきあ旅の自由が侵害され、旅行自粛により旅行業などの営業妨害が起きかねません。3・11以来原発視察や被災地支援の企画が増えています。基地視察も平和を願う立場から需要も継続的に増え続けていました。修学旅行などで“基地の中のオキナワ”を学ぶのも大事なことです。こういったツァーが“妨害”“干渉”などで自粛されることも危惧されます。
 国のトップが、憲法違反ともいうべき「戦犯をも合祀する靖国参拝」を国際世論を無視して強行したことも、円安事情に加えて、海外とりわけ中国、韓国などへの友好訪問、観光旅行の環境を悪化させる大きな要因になってしまいました。
 とりわけこの1年は、日本の為政者がやってきたことが社会経済情勢の『激変』を招き、旅行業界もその影響をもろにうけつつある状態で暮れようとしています。
 とはいえ、というより当然の如く、これらの被害をまともに被る国民各層の“反撃”は着実に熱いものとなりその厚みもましてきています。わたしたちも旅の世界に身をおくものとして、その流れに合流し、旅の環境を守り、旅の自由を拡大し、旅の役割をもっと引き上げるため、引き続き“大きな声”を上げていきたいと思います。そのことが、労協国際ツーリストビューローの役割、仕事であると自戒してがんばります。
 来年2月7日で、当ブログ開設9周年になります。これまで毎日更新の積み重ねで、偶然にも記念日に、アクセスのページビューが100万に到達しそうです。最近は1日500から700件くらい増えています。引き続きアクセスの方、よろしくお願いいたします。