地球へ途中下車第152回 最終回

このコーナーもとうとう最終回を迎えました。昨年2月2日に第1回http://d.hatena.ne.jp/KokusaiTourist/20130202を掲載させていただいてから1年3ヶ月にわたりおつきあいいただき本当にありがとうございました。 この世界1周旅行の実行者の根津様ご夫妻には、ブログの形で記録された貴重な体験と情報を当ブログにも快くご提供いただき心より感謝申し上げます。
 また、昨年9月には、労協 国際ツーリストビューロー組合員の集いでも、参加者が世界旅行をしたかの如く生々しく語っていただきました。
 365日世界一周旅行とまではいかなくても、一生に一度はあるいは継続した目的をもった「壮大な旅」をしてみたいな、旅は大変だけどいいな!と、このブログをご覧いただいた皆様が感じていただけたら幸いです。

素敵な熟年ご夫婦の1年間世界旅行の記録

前回までhttp://d.hatena.ne.jp/KokusaiTourist/20140518

帰国後・日本
日本食の禁断症状】
2012年09月22日(土) 22時52分58秒

すっずしー
気持ちいい風です。
外では虫の鳴く声が聞こえます。
…秋です。日本の秋です。
あの狂気的、暴力的、暑かったら何をしても許されるのか?
…という無茶ぶりな暑さからようやく解放されました。
秋刀魚(サンマ)がおいしい…。
大根おろしがおいしい…。
焼きなすがおいしい…。
梨がおいしい…。
ああ…日本の秋を満喫できて、しあわせです…
 去年の秋のことでした。
夫と妻はヨーロッパのドイツにいました。ノイシュバイシュタイン城からローデンブルグへ向かう途中の列車のなかで、この日は移動交通機関のスケジュールが非常にタイトで、食事をする時間がなく、おなかが猛烈に空いてきました。「次の乗り換えの駅で時間があったら駅構内の売店で何か買って食べようか」、と相談していました。
 …何か買う、って言っても、しょせんは、パンなんです。主食はパンしかないのです。 そして中身はたいていハムとチーズなんです…。
 「はあ…またハムとチーズをはさんだパサパサのパンか…」
 日本だったら、こういう事態、こういうタイミングで何を食べるかな?
駅の立ち食いソバ屋に入って「てんぷらソバ」でもいいよね。
いいね!
(京橋の立ち食いうどん屋でよく、てんぷらときつねのダブルトッピング頼んだなあ…)
関西だと、駅なかにたこ焼きやがあるよね。
あるな!
駅の売店助六寿司とかサバ寿司とか買ってきて、列車のなかで食べるのもアリかな。
お茶がほしいけどな!
 千成食堂のカレーうどん食べたいな…あ、親子どんぶりでもいい…
日本はこれから鍋の季節。
ブリのしゃぶしゃぶ…。馬路村のポン酢…
 あかん!…なんか、やばい症状が出てきた。
このとき、2人は日本の食べ物に対する猛烈な飢餓感を覚えました。
 日本を離れて3ヶ月。これまで繰り返し襲ってきた日本の食べ物に対する要求。でももう大丈夫だと思っていたのです。食べ物に関してはもう慣れた、と思って油断してしまったのです…
 脳がほしがるのです! どうしても食べたい! がまんできないのです。でも決して叶わない願望だから狂おしくなってくるのです。
 …それはかつて経験したことのない抑えられない要求でした…。
薬物中毒の禁断症状ってこんな感じなのかな? と思ったほどでした。
 …それからは、お腹がいっぱいのときはまあ話題としてはありだけど、空腹のときには決して日本の食べ物の話はしないことにしました。
 あのときのことを思い出すといまでも泣けてきそうになります…。
 …ちなみにそのあと、乗り換え駅の構内で、ヨーロッパにしてはめずらしく、魚のフライに野菜のはさんだサンドイッチ、ヘリング(にしんの酢漬け)のサンドイッチをみつけることができたのでした…。
 「これは、もしかして我々のことをかわいそうに思った神様からのプチ・プレゼントか?」
サバ寿司ではないけど近いといえなくもない…
と大喜びした2人でした…