東京メトロ:駅売店の非正規社員がスト 定年後の雇用求め


毎日新聞 2015年04月01日

 東京メトロの駅売店で働く非正規の契約社員で作る「全国一般東京東部労組メトロコマース支部」(後呂良子<うしろ・りょうこ>委員長)が1日、65歳の定年以降も仕事を続けられるよう求めてストライキを行った。大手企業の賃上げに沸く2015年春闘だが、定年を迎える非正規労働者の厳しい現状が、ストを通じて浮かぶ。 6年前に結成された同労組は、時給引き上げや職場への丸椅子設置など、身近な労働条件の改善に取り組んできた。その中で大きな課題になったのが定年後の雇用問題だった。メンバーらは売店で正社員と全く同じ販売業務に従事しながら、賃金や一時金に大きな差をつけられ、退職金もない。月13万円前後の賃金では十分な預貯金は難しく、年金も低額のため仕事を失えば生活に困窮する。
 労組は3年前から65歳以降の雇用確保を求め、メトロの100%子会社、メトロコマース(本社・東京都台東区)と団体交渉をしてきたが、「定年は正社員と同じ65歳」と要求は応じられなかった。3月31日で、組合員2人を含む契約社員11人が定年を理由に雇い止めになるため、労組は交渉を重ねてきたが「検討中」の答えが繰り返された。このため24〜27日、親会社のメトロ本社前で座り込みを行ったものの、具体的な回答がないまま31日を迎え、この日のストに突入した。
 座り込みや訴えに、全国の非正規労働者から激励のファクスやメールが寄せられた。メトロコマースへの要請書提出や抗議行動には100人以上の支援者が駆けつけた。31日に雇い止めにされた組合員は「検討、検討と何年待たせるのか。私たちの生活は待ったなしだ。非正規差別に、もう我慢がならない」と訴えた。後呂委員長は「非正規だからと黙ってはいない。必ず雇用を勝ち取る」と声をからした。【東海林智】