巨大要塞「黒井城」−戦国期の遺構 丹波市

業界紙トラベルニュースより
旅人の心を満たす北近畿丹波
秋冬は荘厳の雲海
丹波市では今も残る戦国期の史跡に歴史風情を求めたい。 

 黒井城は現在の同市春日町に位置。標高356メートルの猪ノ口山全体が巨大な要塞であり、戦国時代屈指の山城として知られる。1576年の第一次黒井城の戦いでは、明智光秀赤井直正の同城を2カ月以上も包囲したが、八上城(現在の篠山市)の波多野秀治が光秀軍の背後を付き、総退却。これは「赤井の呼び込み戦法」として、直正はその勇猛果敢な戦いぶりから「丹波の赤鬼」として武名を轟かせた。直正の死後、1579年に光秀の第二次黒井城攻めで、ついに落城した。
 現在の黒井城跡は猪ノ口山の山頂に本丸や二の丸、三の丸と呼ばれる曲輪、土塁と石垣が残り、戦国期の山城としての面影を色濃く残す。 秋から冬にかけては「丹波霧」と呼ばれる霧が発生し、黒井城跡から見渡せる雲海は荘厳かつ幽玄の世界を演出し、その歴史を今に伝えている。