世界遺産の旅−明治日本の産業革命(3) 静岡・大砲製造した反射炉

業界紙トラベルニュース
 「明治日本の産業革命遺産」の構成資産は九州・山口に集中するが、遠く離れた静岡県伊豆の国市にも見逃せない資産「韮山反射炉」がある。反射炉とは鉄など金属を溶融する炉のことで、日本の近代化を進展させた1つの大きな要素。その完成には当時の人々の多大な苦労があり、日本の発展への思いが込められた施設なのだ。
日本の近代化の第一歩示す
 韮山反射炉は大砲を作るために建てられたもので、江戸幕府直営として1857年に完成した。国内に現存する2基の反射炉の一つで、実際に大砲を製造した反射炉としては唯一現存する貴重なもの。

往時の威容を誇る韮山反射炉
 江戸末期当時の日本は欧米列強に対抗する必要性に迫られており、地元韮山の代官、江川英龍らが主導して現在の東京都品川区台場に設置する鉄製大砲を作ろうと反射炉の建造を計画。建造に携わった人々は、オランダ語の書物を苦労して読み解き、技術的な試行錯誤を重ね、反射炉の完成にこぎつけた。日本の近代化の第一歩を示す建物といえる施設だ。
 現在は耐火レンガ製の反射炉本体のみが現存しており、往時の威容を誇る外観は必見。
 9時―16時30分の開館で、入場料は大人100円。20人以上の団体は90円。所要時間約20分で史跡を案内するガイドもある。