富士の裾野に世界最大の露天風呂と地熱発電所を

伊藤千尋さんのFBをシェアさせていただきました。 
日本で地熱発電が広がらなかった大きな理由が二つあります。
 一つは、蒸気を地下から取り出すと温泉が涸れるのではないかという温泉業者の反対です。石油を掘るとやがて枯渇するというのと同じ発想です。 いえいえ、石油は汲み上げるだけですが、地熱発電では地下から取り出した蒸気の分は温水として再び地下に還元しています。地熱発電をしたからといって温泉が涸れるわけではないのです。さらに今や地下からくみ上げるのではなく、地下の高温の岩に地上から水を注いで蒸気として取り出す高温岩体発電方式も生まれました。これも日本の技術です。
 もっと言うなら、大分県別府市にある有名な杉乃井ホテルは温泉を汲み上げるばかりか、同じ場所で自前で地熱発電をして電気をすべて自家消費し、さらに余った電力を九州電力に売電していますよ=写真右。同じようにすれば一石二鳥じゃないですか。まあ、最近は草津や伊東温泉からここに見学に来ていると言いますから、徐々に広がるかもしれません。
 もう一つの理由は、景観です。環境問題が盛り上がった1970年代、当時の環境庁通産省に、国立、国定公園内に景観を壊す建物を造らないよう申し入れました。地熱発電がやりやすい場所は国立または国定公園です。自然を破壊しないために地熱発電所は建てられなかった・・・というのですが、ちょっと待ってください。
 いま日本で最大の地熱発電所は大分県にある九州電力丁原発電所=写真左=で、ここは「阿蘇くじゅう国立公園」のど真ん中ですよ。稼働を始めたのは1977年です。環境庁の通達にもかかわらず造られたのは、建物の主要部分を地下に埋めて景観への影響を少なくしたからです。
 現にこうして地熱発電所ができています。また、国立公園の敷地から離れた場所から斜めにパイプを掘って地下の蒸気を取り出す方法もあるのです。さすがに政府も環境庁通達は時代遅れだとすでに認めました。
 こうしてみると、日本で地熱発電ができない理由はありません。今からでも遅くはない。国策として日本に地熱発電を広げようではありませんか。

さて、前にアイスランドには地熱発電の副産物として世界最大の露天風呂があることを紹介しました。今回は日本の技術で地熱発電が世界的に活用されていることを書きました。そのうえで僕に提案があります。
 静岡の御殿場に東富士演習場があり、自衛隊が戦闘訓練をしています。そこに行ったとき、地元の人々が旗を掲げて反対運動をしていました。でも、反対運動はなかなか広がらないそうです。この広大な地を自衛隊に貸すことで国から町にカネが落ちるからです。
 僕は世界各地の市民運動を見てきましたが、現状で利益を得る人がいる以上、それを上回る活用方法を提案しないと運動は進みませんよ。ドイツで1970年代に原発2基の建設計画を市民が阻止したさい、原発に替わってレジャー施設などを創る案が提案され、実際にそうなりました。
 

なので、この演習場を見ながら、どうしたらいいのかな、と考えてみたのです。そこで思いついたことがあります。
 富士の裾野で戦闘訓練をしていますが、富士には「戦闘」よりも「銭湯」が似合います。銭湯に行くと壁に富士山の絵がありますよね。ここには巨大な実物の富士山があるのです。だったら演習場の用地に世界一の地熱発電所を造り、その副産物としてアイスランドを上回る世界一の露天風呂を造るのはいかがでしょうか。
 いま、世界一の地熱発電所は米国カリフォルニアの90万キロワットの発電所です。これに10万キロワット分を追加すれば100万キロワットとなって原発1基分です。これができれば、同じ静岡県にある浜岡原発の存在理由はなくなります。富士が爆発したらどうする、と不安かもしれませんが、地熱発電所が噴火で埋まり温泉が川となって流れるくらいで、放射性物質は出ませんよ。浜岡原発を持つよりははるかに安全です。
 さらに言えば、東京の東にある米国のレジャー施設ディズニーランドで日々、日本の若者はアメリカに文化汚染されていますが、これに対抗して東京の西の富士山の麓に純日本的な露天風呂を造れば、お年寄りも含めてみんなが楽しめるではありませんか。ここで折り紙教室などいかがでしょう?大相撲富士場所なんていいかもしれない。
 さらに言えば、全国には「〇〇富士」と呼ばれる郷土富士が北海道に16、東北に16、関東に25、中部に29、近畿に24、中国に15、四国に7、九州・沖縄に19あります。全国のご当地富士の裾野すべてに地熱発電所と露天風呂をセットで造って電力を地産地消すれば、全国どこにも原発なんて不要でしょう。
 原発で不安に駆られるのと、温泉でくつろぐのと、あなたはどちらを望みます?
 こんなことを言えば「夢物語」だと思われるかもしれませんが、みんなでいろんな案を出し合って、原発に替わる使い道をあれこれ考えるのは楽しいものです。運動は活性化し、現状が当たり前だと思っている頑固な人々の頭を変えることができます。
 僕がそれを学んだのは、フィリピンで米軍基地を撤去させた1991年の運動を現地で見たことでした。次回、語りましょう。