パナマ文書 アイスランド抗議デモ 首相辞任 与党内からも非難


毎日新聞東京夕刊
【ロンドン矢野純一】脱税の温床とされる租税回避地タックスヘイブン)を各国の首脳らが使っていたとされる問題を巡り、5日に辞任したアイスランドのグンロイグソン首相が巨額の私財を隠した疑いを指摘されている。租税回避地を巡る問題が3日に明らかになって以降、首脳が辞任に追い込まれたのは初めて。
 「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が、各国の首脳や有名人に租税回避地の利用を指南していたとみられる中米パナマの法律事務所から流出した文書を基に問題を公表。グンロイグソン氏はウクライナのポロシェンコ大統領らとともに名指しされていた。
 首都レイキャビクでは、議会前などで首相の辞任を求める数千人規模のデモが行われていた。グンロイグソン氏は議会の解散、総選挙の実施を模索していたが、連立与党内からも非難が相次ぎ、辞任に追い込まれた。
 英BBCなどによると、アイスランドの国会議員は議会に資産などを報告しなければならない。グンロイグソン氏は2009年に議員に当選した際、妻と共に租税回避地の英領バージン諸島にある会社を所有していたことを議会に報告していなかった。この会社は数百万ドルの資金を保有しているとされる。また、当選直後、自身が保有するこの会社の株50%を妻に1ドルで売却。売却益を圧縮して課税を逃れた疑いも指摘されている。首相には13年5月に就任していた。