夕張にて

KokusaiTourist2007-06-11


 夕張市民に『明日』はあるのか」?!
「がんばろう夕張!」のタイトルで、阪神淡路大震災の体験者と夕張市民との交流をメインにしたツアー(6/1〜/3)に参加した首を垂れるような実感だ。
「黒いダイヤ」と言われた石炭と国鉄は絶対潰れないと豪語された昭和30年代、夕張は120.000人が活況の波に乗っていた。現在の人口はその1割の12、000人でその内成人(65歳以上高齢化率は41%と全国の市で最高)が11,000人で、子どものいない街になっている。
この数年マスメディアで福祉、医療など暮らしの根幹が切り捨てられている市民生活の厳しさは、全国に知らされてきたが、やはり当の市民一人一人から生の声を聞くと愕然する。
・ 公衆トイレの全廃は、高齢者の外出を不可能にする。
・ 近隣病院廃院で「救急車来ても患者救えない」
・ 生活館(公民館)廃止で市民が集まる場も奪う。
・ 市は観光事業などいつの間にか(市議にも知らせず)民間委託(加森観光)している。事例が多い。
有権者の半数近く(4500人)の要請署名も市議会は棚ざらし、審議未了で廃案。
・ わずか30万円の選挙公報予算がないという理由で、暗闇選挙だった過日の市長選挙
選挙違反のやり放題。選管や警察は全く取り締まらず。これは現在の市政に至る原因を全て闇の葬るもの。

・ 今回の市長選挙もこれまで言われてきた「夕張には3人の市長がいる(市長、北炭、労組)を地で行く無法選挙だった。などなど…。
憲法も何もあったものでない。
 
ツァー参加者より「市民の会」へカンパ
夕張市財政破綻の三つの原因は、
①  アメリカナイズの圧力からの、国のエネルギー政策の転換と閉山のよる処理を市に押し付け。あの三菱資本ですら撤退の社会的責任として10億円を市へ寄付したが、夕張炭鉱の8割を占める北炭(北海道炭鉱)は寄付どころか、会社所有の住宅(炭住)、病院、浴場、水道施設等を夕張市の買い取らせた。
②  地場産業夕張メロン、ワインなどの奨励より、大型観光開発会社が「道」の許可で夕張市へ続々参入、ホテル、スキー場など100億円近い負債を市は抱える。それもこれらの企業は3年間無税とくる。市民の足の鉄道もこれらの施設までしか敷かない。
③  小泉前首相からの行政改革路線での地方交付税削減とマスコミのよる「放漫経営夕張」バッシング。それは早速全国の自治体と住民への犠牲強要と脅しが広がった。
「夕張のようにならぬよう」「夕張のようになりたいか」。

 交流の中で市民が強調するのはマスコミのあり方。
「厳しさと美談(イベント)」セットの報道姿勢。現場の厳しい市民生活の背景と原因追求の記事を書こうとしてもデスクからストップかかると、正義感の燃える記者の苦悩。これらの背景には上述した長く企業城下町を仕切ってきた「三人の市長の存在」。
そして、美談やイベント路線。過日有名になった「手作り成人式」も相応の予算(18万円)が計上されていたが、「1万円しか出さない市に対して、成人たちが立ち上がった」図式が作られ、全国報道されたので結果200万円以上のカンパが集まった…とヤラセに悲観的。又、鳴り物入りの新市長の出張費が無いと報道される(させる)と間髪入れず財界からのカンパが市長の手にといった具合。更には、観光施設の委託をいつの間にか受けた加森観光の「ワンペイ方式」。つまり13施設の周遊チケットだが、全部見ても、1ヶ所見ても3,150円という木で鼻をくくった話。関連施設に働く従業員もその理不尽さは痛感しても、唇寒しの状況(「働ける場があればまだ良い…」)

 国のエネルギー政策と、今日の自治体潰しの見せしめ的存在の夕張市
市民が「しあわせの黄色いハンカチ」を誇らしげに掲げるまで連帯しよう。
それが12年前震災を体験した神戸市民の率直な思いだろう。

                                    富田秀信