“まがつびよ…”
広島平和公園の一角に若葉の像があります。8月6日の昼下がり、あの日もそうであったであろうか…灼熱の太陽が照り付ける中、周囲の注目を浴びるひときわ大きな歌声が沸き起こる。
♪まがつびよ、ふたたびここに来るなかれ平和を祈る人のみぞここは♪
 湯川秀樹博士が核廃絶を願って詠んだ“うた”の100人余の歌声である。
 …「日本も核装備の検討を!」「原爆投下はしようがない…」などの発言が政権中枢から確信犯の如く飛び出して来る時、博士生誕100年を契機に、「核兵器は絶対悪で、人類と共存できない」とする博士の後半生を賭けた壮絶な闘いをこの詩を拡げることを通じて受け継いでいこうとする試みである。
 旅は平和でなければ成り立たないとする旅行業者の団体が積極的に平和に貢献しようとする念いと、スミ博士夫人からの依頼でこの詩に曲をつけ夫妻の遺志を繋いでいきたいとの元宝塚ジェンヌの願いの合作でした。
 唯一の被爆国の国民として一人一人が平和を願う声を上げることで、核兵器をこの地上から無くそうという崇高な責務に身を奮い立たたせた取り組み。スミ夫人とともに長年、世界平和のためにたたかってこられた老婦人も感激の面持ちで駆け付けた。この詩が刻まれた若葉の像を建立したロータリークラブの皆さんも駆け付け、曲を付けた元宝塚ジェンヌと握手。 その日の朝、同じ公園で開かれた式典で、「私たちはあの日苦しんでいた人たちを助けることはできませんが、未来の人たちを助けることはできるのです。」と二人の6年生の代表が述べたという。また、市長は、「憲法をあるがままに遵守せよ」と国に注文を付けた。
私たちの歌声は、そうした願いと一つになって、62年目の夏、核廃絶に向かって新しい灯を点した。そして、元宝塚ジェンヌの言うように、天国の秀樹博士とスミ夫人に間違いなくとどいたことでしょう。(
T.MATSUOKA)