KokusaiTourist2007-10-02

2007.9.23
第21回 日本高齢者大会に参加して
年金者組合 姫路支部 本行 清
はじめに                         天気なら中央道から富士山が見える!「町から村からの連帯で、ひとりぼっちの高齢者をなくそう!」をスローガンに、毎年行なわれている日本高齢者大会ですが、今年は21回目を迎え、横浜の「パシフィコ横浜」で行なわれました。私は初めての参加でしたが、「新米」の高齢者として大いに刺激を受けました。

主催者でお撮りになった記念写真をお借りしました。武田神社にて
参加のいきさつ

 そもそも私は、自分自身を「高齢者」とは思っていませんでしたし、ましてや記念講演でのなだいなだ氏の曰わく「老人」などとはおよそ関わりのない者だと思っていました。
その私が今回の大会に参加したいきさつは、全くよこしまな考えからでした。というのは、当初年金者組合姫路支部からは、他の方が参加予定でしたが、急に参加できなくなり、誰か?ということで私が手を挙げたわけです。
 私は、内容も目的も知らないまま、
ただ
①バスで昼の中央道を走れば、南アルプス八ヶ岳それに河口湖からの富士山が見られる。
②学習講座で地球温暖化とエネルギー・食糧問題の話が聞ける。

ということで参加することにしました。
富士山は雲の中
 まず全体の行程ですが、初日の9月16日(日)は、姫路からの参加者8名を乗せ07:30にバスが出発。神戸・尼崎で停まり、名神・中央道と走って、岐阜県の恵那の山菜園というところで昼食を取りました。昼からは諏訪湖を経由して甲府で高速を降り、NHKの大河ドラマ風林火山」でゆかりの武田神社を見学し、石和(いさわ)温泉で宿泊しました。
 2日目は、朝の08:30に宿を出て、甲府市内のワイン工場を見学し、御坂峠を越えて河口湖を経て、東冨士道路から御殿場ICで東名に入り、お昼に横浜に到着しました。
 残念ながら南アルプス八ヶ岳も富士山も、全部雲の中でした。ガイドさんが太宰治「冨士には月見草が似合う」という一節を紹介してくれましたが、よこしまな参加者には“雲”が似合っていたのかと反省しています。
 2日目の午後からは「分科会・学習講座」があり、夜は港が見えるJR桜木町前のホテルに宿泊しました。
最終日は09:00から全体会が始まり、パシフィコ横浜の大ホールで実行委員長の挨拶、基調報告、記念講演などが行なわれ、12:30に終了。即バスに乗って東名・名神とひたすら走って、神戸20:20。姫路には21:15に到着し、全員事故もなく今回の行程を終えることができました。
地球温暖化対策は待ったなし
 1日目の9月17日(月)は、学習講座・シンポジウム・分科会が、22の会場に分かれて行なわれました。私は、学習講座の地球温暖化と異常気象」「地球温暖化と世界エネルギー・食糧問題」の講座に参加しました。
 はじめの「地球温暖化と異常気象」についてですが、元気象庁の増田喜信さんの講義が1時間半にわたってスライドを使って行なわれました。私がまず驚いたのは、講師の増田さんが「私も高齢者です。」と84歳であることを自己紹介されたことです。声に張りがあり話の筋道もキチッとしており、とても84歳とは思えませんでした
 さて内容ですが、スライドだけでも30枚もあり膨大なものでしたが、今年発表されたIPCC気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告書にもとづき、気候変動の原因が自然的なものと人為的なものがあり、世界と日本でどういう現象が起こっているのかということを、気温・海面水位・積雪面積・異常気象の増加のそれぞれについて、詳細なデータで報告されました。そして21世紀末の気候がどうなるのか、その影響はどう現れるのかを明らかにされました。
 私もIPCCの年次報告書は読んでいましたが、改めてその深刻さを知らされました。ただ講師が締めくくりに話された温暖化を防ぐ考え方に、多少救われた思いがしましたので、その部分のスライドだけを紹介しておきます。
「環境破壊は何故起こるのか」
 そもそも人間は自然から物を取り、加工、製造、利用し、それぞれの課程で生じた廃棄物を自然に戻すという方法で生きている。一方、自然には再生能力と浄化能力がある。自然の再生能力以上に「奪略的」に物を取り、浄化能力を超えて「集中豪雨的」に廃棄物を捨てると、環境破壊が起こるのである。従って、環境破壊を防ぐ基本は、物を取るにしても、廃棄物を捨てるにしても、再生能力と浄化能力の範囲内に「規制」することである。すなわち「発生源で止める」ことである。
地球温暖化を防ぐために」
 ①47億年もかかって作り上げてきた地球環境を、僅か100年で台無しにしてはならない。
 ②環境破壊は微量な物質で起こっている。
 ③それらの物質は人為的に作られたものであり、必ず減らしたり無くすことができる。
 ④環境破壊をなくす基本は「発生源で止める」ことである。
 最後に講師の増田さんは、温室効果ガスを削減するための経費は、世界のGNPの3%未満で可能であり、必ず人類は英知を発揮するであろう。と強調されて締めくくられました。
 以上で第1講座の報告を終わりますが、引き続いて行なわれた地球温暖化と世界エネルギー・食糧問題」も強烈な内容でした。この講座の担当は、長く生協運動にかかわってこられた、都留文科大学の大嶋博士でしたが、前の増田さんの話しを受けて、地球温暖化と環境破壊が世界のエネルギーと食糧問題に、どのような深刻な影響を与えているか。という内容でした。

 丁度前日の9月17日付けの「しんぶん『赤旗』」の1面トップに世界の穀物在庫が最低になり、たったの55日分しかないという報道がされていましたが、
20年後の日本人が食べる食糧は誰が作っているのか?果たしてそれは可能なのかという問いかけがされ、人類の生存の危機を訴えられました。
 また、エネルギー問題にしても、世界の原油埋蔵量は、富士山を逆さにした入れ物で、たったの2杯程度しかないことを指摘し、この問題の深刻さを指摘されました。
 以上で二つの講座の概要を報告しましたが、会場は満席で、椅子に座れない方も沢山居られ床に座って熱心に聴かれていました。
全体会について
 2日目の9月18日(火)は09:00から、パシフィコ横浜・国立大ホールで全体会が行われました。
全体会は、高齢者のうたごえではじまり、実行委員会の挨拶、基調報告、各地の報告があり、作家で精神科医の「なだ いなだ」氏による記念講演が「老人の怒りが、いま大きな力に」と題して行われました。なだ氏は、「老人はいいたいことをいいましょう。胸を張りましょう。おれたちは老人だぞといいましょう。最近、老人という言葉を嫌う老人を見かけるようになりました。もっと誇りに思いましょう。わたしたち老人の頭は知恵で一杯です。それをさりげなく、若い世代のために使っていきましょう。」と、強調されていましたので紹介しておきます。
 集会の締めくくりに、姫路でもおなじみの松平晃氏によるトランペット演奏と詩の朗読が行われ、第21回日本高齢者大会を終えました。
ありがとうございました。
最後になりましたが、往復1400kmの行程を無事運行していただいた、阪神バスの運転手さんと、吉本ばりの名調子で案内していただいた鈴木ガイドさん。それに最初から最後まで微に入り細にわたって添乗し、お世話いただいた国際ツーリストビューローの桝本さんに感謝するとともに、今回の大会参加に、多くのカンパをお寄せいただいたみなさんに深く感謝し、感想・報告とします。失礼しました。