新自由主義のもとで旅行環境は…

KokusaiTourist2008-02-10

08年の幕開けも大企業の史上空前の利益と、格差と貧困の拡大のもとで、「名門」「老舗」の相次ぐ偽装、急激な株安、諸物価の急騰が続き日本経済の諸矛盾はいっそう激化しています。福田政権も、「国民・消費者の立場」を口にせざるを得ず、世論の動向をにらんだ政権運営を強いられています。しかし、「競争至上」、「規制緩和」、教育・福祉などの「官から民へ」の「市場原理主義」、アメリカ依存で自主性のない経済、外交をなんら再検討するつもりはないようです。10%前後の消費税増税を与党税調のみならず、政府も否定しようとしません。軍事費は聖域、大企業減税・庶民増税の路線では、「豊かな日本」「平和な日本」は、その現実との矛盾を拡げるばかりです。そして「国会のねじれ」でなく、いまや「国民の願いと国政のねじれ」が生まれてきています。

 旅行市場の規模では、国内・海外旅行客数は06年3億3,600万人、96年比98.9%で横バイ、金額では16兆2,800億円で同年比85.5%と激減しています。その中で旅行業者の取扱額は、05年7兆5,500億円で96年比76.3%、国内旅行中心の中小種業者に限ると1兆2,900億円で66.9%と、市場金額規模の落ち込み85.5%を大きく下回っています。しかし業者数は、1種(中堅・大手が多い)が06年817社で96年比92.9%減少ですが、123.5%と大幅増の3種業者(零細規模が多い)を含め、全体として103.6%と増加傾向にあります。
 換言すれば、旅行単価減少、人数横バイ、業界離れの中の業者増=競争激化、利益額・率の低下となるのでしょうか…。「市場原理主義」と「規制緩和」の放置は、日本固有の旅文化の変質、崩壊につながりかねません。旅館業界では、利用の減少、経営悪化、旅館数の激減に乗じて外資ファンドなどが、「より安く買い取りより高く売り抜く」というファンドの本性むき出しの「一時的経営・営業」手法で日本旅館の在り方にも少なからぬ影響を受けています。現在の、政治、経済状況の改革がなければ、関連業界にもこの傾向が生まれ加速されるのは明らかでしょう。(T.MATSUOKA )