ペルー

KokusaiTourist2008-03-24


2月1日から10日までのペルーツァーに参加された楠田るみ様から
“ペルー紀行”が寄せられましたので3回に分けてお届けさせていただきます。


その2 フジモリ前大統領の人気の背景


「ペルーの政治家の中に貧しさを無くそうという気概のある人はこれまで出てこなかったの?」そんな疑問にガイドは「知る限りそんな政治家はいない。ただ、唯一国民を豊にするには教育の普及だと、学校をつくり教育を重視したのが教育者でもあるフジモリ大統領だった。国民は無知のほうがいい、へたに教育をすれば自分たちの権益を脅かされることになる、と露骨に言う政治家たちもいるペルーにあって、フジノモリに期待した国民は多かったと思われる。


クスコのガイドはバスの中から「この立派な学校は笹川良一さんがお金を出した。」と何度も自慢した。そういう宣伝は行き届いているようだ。ガイドはフジモリ政権の1期目については評価しているという。フジモリになってテロはなくなり、観光客も増えた。街は確実に変化したと言う。

農村で(テロ組織から)農作物ではなくコカを栽培させられていた人たち。仕事を求めて街に出てきたが住むところがない。フジモリは5年間住み着けば所有権を与えるという法律を作った。何年かすればポツリポツリと建っていたバラック小屋がいくつも増え、彼らは水を引き、電気を(多くは盗んで)引き集落ができてくる。10年も経てば高い丘の上まで家が建ち立派なコミュニティができて日本で言えばニュータウンだ。クスコからプーノまでの道路。この道路のおかげで鉄道より早く目的地に着く。どれだけこの道路ができてペルーの国民が助かっているか。ファンさんはフジモリ大統領のおかげだと自慢した。


ペルーの選挙
バスの中から見える風景。山にやたら字や絵が書いてある。ペルー人は山に絵を描くのが好きなのか?と聞くと、文字が読めない人が多いので、選挙の時に鍋の絵は誰々、魚の絵は誰々というように印象付けるためのものだそうだ。ペルー人の投票基準は「あの人は砂糖をくれたから入れる」とか「あの人はとうもろこしをくれたから」という水準だとガイドは嘆いていた(日本も自慢できる水準ではない)。


前回の大統領選挙は「癌とエイズの闘い」と言われたそうだ。選ばれたアラン・ガルシア新大統領は汚職事件で亡命していたかつての悪名高い大統領。どうしてそんな人が選ばれたかというと、対立候補オジャンタ・ウマラ氏は反米派で国民には過激過ぎると思えたようだ。ベネズエラチャベスがウマラ氏を支持したことからガルシア派からのかなりの攻撃があったと聞いている。どれほどの差でガルシアが勝利したのか知りたいところだ。「癌はその人だけだがエイズは人にうつる、エイズよりは癌のほうがマシだ」というペルー人の選択だったとガイド。


今起きている南米で起きているベネズエラボリビアなどの新自由主義からの離別の動きと、ペルーの政治的変化の関係は私にはわからないが大変興味あるところだ。(R.KUSUDA)