済州島4・3事件60周年記念行事

KokusaiTourist2008-04-15

『火山島』を読む会のメンバーが「追悼・慰霊祭」に参加

 ツァーリーダーの橋本宏一さん(日本国民救援会京都府本部事務局長)が国民救援会京都版の「ここだけのはなし」欄に発表された文を橋本さんのご了解を得て転載させていただきます。

在日コリアン作家の金石範さんから、済州島4・3事件60周年記念行事に、日本人のあなた方「火山島」を読む会の仲間を招く計画があるから参加しないか、との電話を受けたのは今年のはじめだった。
 済州島への飛行機代は自弁だが、公式行事中の費用はめんどうをみるからとの誘いに前後の旅程も加えた計画をたて、12人のメンバーで参加してきた。

済州島4・3事件というのは、1948年4月3日、米軍占領下、李承晩政権が南朝鮮だけで実施しようとしていた総選挙に、島民が「祖国分断の固定化だ」と反対、暴虐を加えていた政府や警察、右翼に抵抗して武装蜂起をした事件。米軍の庇護のもと軍、警察、右翼(西北=ソブクと呼ばれる)が焦土化作戦を展開、住民約3万人(当時の人口がほぼ30万人)が虐殺され、長い間この事実が隠されていた。

この事件を題材として、戦いのなかに生きる青年群像を描いたのが金石範さんの長編小説「火山島」である。読者会を定期的に開催し、事件はもとより韓国の現代史を学び、日本人としてのあり方も議論してきた者にとって、お招きは大変な名誉で、今後の日韓の平和と人権を広げる運動に有益になると期待に胸をふくらませての旅立ちであった。 

4・3事件は朝鮮戦争の導火線でもあった。同じ民族同士が殺し合う戦争は、国連軍という名の米軍の介入によって約400万人もの犠牲者を出した。そして今もなお『停戦』がつづいている。そんな不幸ななかから、韓国の人たちは、国民的なたたかいによって民主化を勝ち取り、自由を獲得しタブーも打ち破ってきた。金大中政権のもとで99年「済州4・3事件真相糾明及び犠牲者名誉回復に関する特別法」が成立、03年には廬武鉉大統領が公式に国家権力の犯した過ちとして住民に謝罪した。こうして60年目の節目に開催されたのが今年の追悼・慰霊祭だった。

 会場の平和公園は、島の最高峰・漢拏山の中腹にある。青空に春の風が吹き渡る慰霊塔の前には1万人が集まった。玲瓏とした追悼歌が響き渡る。言葉は通じなくとも自然に涙がにじんでくる。小学生たちがきれいな声で歌う。木綿おばさん(顎の骨を銃で打ち砕かれ、あとの一生は木綿で顎をおおって暮らさなければならなくなったおばあさんの話を小学生が詩に書いたなかの優秀作)の歌は特にしみる。

 「クッ」という霊を呼び出し魂を鎮めるセレモニーも迫力満点だった。遺族は、「このように追悼されて感無量」と挨拶。事件の真相を発掘し名誉回復を補償をする運動を妨害し歴史を逆回転する輩がいることにも怒りを表し「いいたいことがあるなら済州島へやってこい」と憤激もしていた。州知事、国務総理大臣の追悼の辞もあった。だが、総選挙中でその影響を考えたのか、李明博大統領は、一旦行くと言明しておきながら慰霊祭を欠席した。島民の評判はよくないとのことである。
 日本も韓国も、歴史の事実を掘り起こし動かぬ事実とするのは、歪曲し隠蔽しようとする勢力との長いねばり強いたたかいがいることを知らされた。


集会のお知らせ
『なくそう!えん罪 救おう無実の人びと 関西市民集会』
と き  5月18日(日) 午後1時30分
ところ  クレオ大阪西(大阪市男女共同参画センター西部館)
     大阪市此花区西九条6−1−20 06−6460−7800
ないよう えん罪者被害者は語る
     「なぜ無実のものが犯人にされるのか」
     逮捕、拘留、取り調べは? そのとき家族は?
     誰でも犯人にされる落とし穴
     裁判官は公正か
     などについて日野町、長生園事件(西岡廣子さん)、オヤジ狩り事件、東住吉事件、高石小学校強制わいせつ事件の関係者が語ります。
特別参加 志布志事件で無罪判決を勝ち取った当事者の方からも発言してもらいます。
参 加 費 チケット500円を国民救援会京都府本部(075−801−3915)へ申し込んでください。
主  催 5・18集会実行委員会

感動劇『族譜』鑑賞のおさそい
 日本がかつて、植民地支配をした朝鮮では、土地も、資源も労働力も奪ったうえに、文化も言葉も人格を表す名前さえ奪われた。「創氏改名」は朝鮮名を日本名に変えること。これがいかなるものか
登場人物のセリフや動きなど、迫真のやりとりを通じて伝わってくる。そんな劇をしませんか

日時 6月21日(土)午後3時
会場 呉竹文化センター 京阪・近鉄丹波橋駅」西口
チケット 前売り券 4000円(当日4500円)
     中高生・障害者2000円(当日とも)
申込 国民救援会京都府本部(075−801−3915)