ローレライ

KokusaiTourist2008-09-15

     富田秀信のドイツ環境視察添乗レポート

 地熱、電力、交通など環境先進国・ドイツに行ってきた。
この企画の伏線は「鳴門・ドイツ村」にあった。
約100年前、その地で日本で初めて「第九」が演奏されたのみならず、パン、ソーセージ、西洋野菜、印刷、建築など様々な文化文明がドイツ兵からわが国に伝授された。そして100年経た今、環境先進国ドイツに我々は学ぼうとしている。

 冷戦後、アメリカ基地跡の太陽地熱システムで、「地熱でここに動植物公園も作りたい」と目を輝かせて語る女性技師。
高速道路の上に蓋をして(トンネル)「再自然化」の緑地帯や河川も敷いた自治体職員は、「最初は人間の知恵で手を加えるが、後は自然の力にまかせる」と。ダイナミックで自然と共存するおおらかさにツアー参加者一同感嘆する。
又、路面電車の路面は、騒音と雨水対策で芝生が敷き詰められ、ナチスドイツの遺産のアウトバーン(高速道路)は国内どこまで走っても無料など更なる驚きが。
今回各視察先で神戸や京都のお土産だけでなく、第九「歓喜の歌」(原語をカタカナ訳)をお礼に歌った。東西ドイツ時代から第二国歌としてドイツ人の心の故郷のこの曲を、我々日本人が歌うのである。当然:一番喜ばれた土産:だった。

その喜びが爆発したのが、視察が終わった最終日の観光のライン川クルーズ。
船からバスで「なじかは知らねど〜」の130mのローレライの岩塊の上に上がった。
我々が写真などを撮っていた時、そばで100名ばかりのドイツ人観光客が一員のトランペッターの伴奏で「ローレライ」を歌い始めた。ローレライ」の日本語歌詞を持っていた我々は、その指揮者らしき老人にすかさず「日本人だが『ローレライ』を日本語で歌いたい」と言うと即OK。100人のドイツ人の前で、そのトランペット伴奏で歌う。「ジャポン、ジャポン」の拍手。歌い終わりすぐさま「歓喜の歌」を続けた。トランペッターも音を追ってくれる。日本人のドイツ原語での「歓喜の歌」。先ほどに勝る大拍手。
 参加者も「ローレライの上で『ローレライ歓喜の歌』を歌えて本望」と興奮の面持ち。

 言葉は通じなくても解り合える音楽の力。世界共通の言葉。
100年前日本人が初めて聞いた「第九・歓喜の歌」を、100年経て日本人が歌い、ドイツ人に聞いてもらった。 (H.TOMITA)