フィンランド、ムーミンの世界

アニメの舞台を訪ねる
(トラベルヴィジョンより)
ムーミンの世界を再現した島

 首都ヘルシンキの西、列車とバスを乗り継いで3時間弱のところにある町ナーンタリンにある「ムーミンワールド」は、ムーミンの世界を実際に体感できるスポット。入り江に浮かぶ小島にムーミン谷を実物大で再現しており、アニメで見たムーミン谷の雰囲気が存分に味わえる。園内に「ムーミン」をはじめ、アニメに登場するお馴染みのキャラクターが現れると、子どもだけでなく、かつてムーミンに親しんできた大人たちも大興奮。誰もが童心に帰って1日楽しめるテーマパークだ。
 ムーミンワールド」の開園は、年間を通して6月半ばから8月半ばまでの2ヶ月ほどにも関わらず、日本からもムーミンワールドが組み込まれたツアーが催行されるなど人気は高い。また、ここでは結婚式を挙げることも可能で、ムーミンの仲間たちに祝福されるうえ、「ムーミンワールドオフィシャル結婚証明書」が新郎新婦に贈られる。ムーミンの世界そのままに豊かな自然に囲まれたムーミンワールドでの挙式は、ムーミンのファンにとってはこれ以上ない経験になるのではないだろうか。

画家としてのトーベ・ヤンソンの作品
 ヘルシンキから列車で北へ約2時間、フィンランド第3の都市タンペレにあるのは「ムーミン谷博物館」。2007年に開館20周年を迎えリニューアルしたこの博物館は、トーベ・ヤンソンの原画や1200点を超えるスケッチなど、原作に近い作品が展示されている。また、ムーミンの家のミニチュアなどもあり、精巧に作られたそれらの展示はムーミンフリークには必見。
 童話作家としてのイメージが強いトーベ・ヤンソンだが、ヘルシンキ市庁舎には彼女の描いたフレスコ画が展示されており、画家としての評価も高い。博物館には多くが初公開という彼女の描いた自然風景が展示され、壁には小さな生き物や植物たちの絵がテーマごとに描かれている。「ムーミン」誕生の背景に、フィンランドの豊かな自然が大きく影響していたことを感じさせる、すばらしい展示である。

世界中で愛されたキャラクター「ムーミン

 ムーミン」の本名は「ムーミントロール」。今から半世紀以上前にフィンランドで発表された物語で、ムーミン谷で繰り広げられる、素朴でユーモアに富んだストーリーは、これまで25ヶ国語以上に翻訳され、アニメは世界約100ヶ国で放映されてきた。
 日本では1969年、1972年、1990年に、それぞれ異なるキャラクターデザインで200話以上のストーリーが放映されてきた。中でも1990年から放送のムーミンは、原作者であるトーベ・ヤンソンムーミンのコミックスの執筆していた弟のラルス・ヤンソンが制作に携わり、より原作に忠実なムーミンの世界が再現されている。そのおかげで、日本生まれのムーミンのアニメが、故郷フィンランドでも放送されているという。
 ファンタジーの背景であるにもかかわらず、アニメに登場する豊かな自然に惹かれる人は多い。ムーミンのファンの中には、その色彩の美しい描写への憧れが、物語の発祥の地となったフィンランドを旅行する動機となるケースも少なくない。

フィンランド観光局ムーミンのサイト
http://www.moimoifinland.com/basic/culture-moomin.php

ムーミン博物館
http://www.tampere.fi/muumi/

ムーミンワールド
http://www.muumimaailma.fi/