旅行業界などが求めるキャンセル料の補てん要求

KokusaiTourist2009-06-10


 今日行われた近畿東海旅行業連合会(兵庫、大阪、滋賀などの協同組合で構成)で、キャンセル料の公的負担を求めることや融資の条件緩和、手続きの簡素化を求めていくことが決まりました。来週中にも要望を提出する予定です


修学旅行のキャンセル料について
−5月20日朝日新聞の記事に思うこと−

行政の危機管理能力マスコミの公正・公平な報道姿勢の自覚大手旅行社の矜持それぞれの欠如!

キャンセル料の中身は
“旅行社自身の行程や企画づくり、見積もり作成、顧客との折衝などに費やした労力、時間、諸経費への補填という部分” に加え “交通、宿泊、食事等の各施設からのキャンセル料請求に見合う額の移転部分”


旅行社が“負担する”とは

学校や父母の要請で旅行社が各施設へキャンセル料の減免申し入れ、その減免申し入れが実を結べば、「実質的には」キャンセル料を旅行社が「負担」するということではありません。施設が減免を拒び、客も支払いを拒否すると旅行社の負担が生じます。中小の旅行社ではよくあります。

中小の旅行社の現場では…
 学校側の「要請」を受けて各施設と減免交渉し、施設の「理解」を得られた上で、その旨を学校に伝えるなど話し合いの仲立ちをしています。しかし、うまく免除された場合に、「当社はキャンセル料をいただきません、とか当社が負担します。」などではなく、「施設側にも理解、納得して頂きました。」との言い方になるでしょう。

それでも問題は残る
 施設側にもそれぞれの取引(納入)業者があります。施設側の“負担”は納入業者へと転嫁されないとは限りません。いわゆる事業者間の力関係のもとで「弱者」にしわ寄せがいくのは容易にみてとれます。業界最大手の旅行社が「自社で負担します」などと“宣言”するのは、情況を考えるとリーディング企業としての矜持に欠けると言わざるを得ません。 

新聞報道されることによって、
 修学旅行のキャンセル料問題で学校と施設の間で苦慮している多くの中小旅行社は多大な迷惑を被ることになるのは必定です。マスコミにはその社会的影響力を自覚し、検証可能な事実に基づき、消費者及び零細規模から大きな事業者に至る様々な立場に配慮した公平、公正な報道が求められます。

「行政指示」による「強制的」キャンセルであれば
 それに伴う父母、旅行関係事業者の負担については「公費負担」の原則のもとに、行政が始めから適切な指針を示し必要な手当をすべき。22日になって文科省では、「国の交付金で補てん可能」との見解を出しています。自ら「もらえません」と言ったJTB西日本と取引した学校からも、同社の宣言の意に反して「公費負担」でキャンセル料が支払われるのでしょうか…?!行政のあまりにも遅く的を得ない対応で現場は大混乱に陥ります。

文科省の見解は遅きに失したが…
 一方では、休校、集会の再検討、不要不急の事業の縮小・休業、外出自粛勧奨などの「行政措置」により生じた修学旅行など公的な旅行以外の一般の旅行キャンセルに伴う事業者の損失補填やキャンセル料についても公費負担による十分できめ細かな手当をとの要望に正当性を与えるものだと思います。(T.MATSUOKA)