小選挙区の非民主制が明らかに!

小選挙区制、自公にも仇に−
05年にただ一点の郵政民営化を掲げて300議席を取り悪政の限りをつくし、国会運営でも横暴を重ねた自公政権。4年間溜まりに溜まった国民の怒りのマグマは、政権をともに担ってきた政党、公明まで含めて吹っ飛ばした。国民の怒りの一票、一票が政権交代を実現したのは、日本の政治史上初の快挙!間違いなく歴史的な変化の始まりではある。
あまりに劇的な変化は、小選挙区制の「たまもの」でもある。4年前圧勝した自民党が、今回すっかり民主党に代わっただけ。それも基本政策でほとんど変わりのない政党に。マスコミや民主党は、この事態を「革命的」とか「歴史的変化」と呼ぶが、国民は、自公を拒否したのであって、民主を評価したのではないとの声も多く、本当の戦い!はこれからと冷静に見ているのが実態であろう。国民性、文化の違いもあるが、諸外国のように、こうした国民が生み出した政変に狂喜乱舞が見られないのはそういうことか。
そもそも、民意の大半が切り捨てられる小選挙区制のもとでは、国民の多様な声は届かない。ほんらいの国会の構成は多様な民意を反映したものでなければならない。それ保証する選挙制度比例代表制のもとで“政党選択選挙”として戦われるのが、民主的な代議制ではないか。そのもとで各党が十分に政策などを自由にアピールする、マスコミもそれらの国民への周知を保証することがまず選挙戦の役割である。新しい国会構成の中で、比較第1党が主導的に「政権獲得」のため過半数を獲得しようとするのは、選挙戦とは次元の違う次の問題ではないか。選挙戦の争点が政権選択なんてことは、ありえない、政党及びその政策、未来図の選択である。
小選挙区制度のもとでは、国民の不満、要求が渦巻いているのに、小数の政党に委ねられる民意は国会に反映されないばかりか、財界、保守党派、マスコミなどの「二大政党論」の意図に乗ぜられ、悪政の反作用としてだけ、国民の要求実現の受け皿にとても成り切れない政党に“不本意ながらも”委ねて結果的に議席が集中してしまう。また、その揺り戻し、繰り返しが危惧される。
 実際には今回も様々な政党が名乗りを上げた。こうした中には、「政権党」となる民主党が、少なくとも現状で民意を反映している比例区定数を80も減らすことを公約にあげているのに、そのことを批判もせず連立政権の協議に入る政党がある。政権入りして中で自らの筋を通すと言い繕って、結局は「政権党」と権力に擦り寄り、変質、吸収、没落して行くのは最近の歴史の経験でも明らかになっている。
仮に比例区の各党の得票率で小選挙区も含む全議席480議席を配分してみると…
民主党42.5%で204議席(実際の獲得は308議席議席占有率は64.2%なんと1.5倍!)。自民党は26.8%で128議席(実際は119議席で占有率は24.8%に下がってる)、公明党は11.5%で55議席(実際は21議席で4.4%しかない)、共産党7%で34議席実際の獲得は9議席で1.9%しかない)、社民党は4.3%で21議席(実際は7議席で占有率は1.5%にとどまっている)。民主党絶対多数などと言われているが、204議席に留まり連携を加えても過半数には微妙になる小選挙区制の非民主制は極まれりといえる。改めて、小選挙区制廃止、全国1本の比例代表への声を大きくしなければと思う。政策の中味でなく民主主義の問題である。現制度のもとで自公両党は、たしかにマイナス191議席の歴史的大敗ではあるが、すべて比例区として換算すると、議席減少の幅は40は「和らぐ」のである。
比例区での自公と民主の得票数(仮定議席数)も約2,690万(183)、2,980万(204)、わずかの差なのである。自民の力は決して侮れない

資料は、asahi.com から