名古屋・大須/元気な街でみた大衆芸能の伝統

KokusaiTourist2009-10-27

(27日しんぶん赤旗より)
骨董市でにぎわう大須観音の境内
 下町情緒あふれる元気な街、名古屋市大須を訪ねました。大須はかつて名古屋開府の折、織田信長ゆかりの万松寺などの寺が集められた所で、いまも町内にはたくさんの寺があります。
 地下鉄鶴舞線大須観音駅を降りると、江戸時代、岐阜の大須から移転してきたという大須観音があります。朱色の本堂の石段を登ると、香炉に線香がたかれ、参詣客がしきりに頭に煙をかけています。
 大須観音境内はおりしも月2回開かれる骨董市。雨模様で心配でしたが、それでも着物、陶器、昔懐かしい赤銅のヤカンなどの日用雑貨、アクセサリーを商う露店などがテントをひろげて次から次へと客を呼び込んでいました。
 観光客らしい女性たちが「こんなにすてきなお店が開かれるなんて」とうれしそうに話しています。手芸用の鈴を「もっとまけなさいよ」と店の主人に値引き交渉をしている客。そんな様子を見ていても楽しい。販売の着物もすべて中古で、さすが「着だおれ」の名古屋だけあって、とても美しいものがあります。いきな和服姿の客もちらほらみかけます。
 観音様を後にして、大須の商店街へ。みたらし団子とお茶で一服してから商店街を一回りしました。
大須演芸場。多くの芸人が巣立っていった
 子ども連れや、若い男女、外国人家族も交じって、それはそれはにぎやかな街並みです。碁盤の目のように線引きされた通りは、アーケードになっており、上からつり下げた「おみゃ 大須は楽しいええとこだがや …」などと名古屋弁のポスターがほほえましい。
 明治年間創業の家具店など古いお店、若者の心を引く古着屋やパソコンの店、ソバ、ウナギ、ピザなどの店が並びます。
 大須は江戸時代から庶民が集まる芸能の町でした。明治時代には自由民権を唱える人々がオッペケぺ節を歌い、気勢をあげたこともあったそうです。
 大衆芸能の町の伝統を受け継いだ「大須演芸場」を訪れました。ゆったりした座席で250人ほどの客が入るとか。のぞいてみると、こま回しの芸、本日最後の寄席が行われていました。演芸場席亭の足立秀夫さんは、「前の人から引き継いで、ここで39年間経営にたずさわり、現在、芸能界で活躍するたくさんの役者がここから巣立っていきました」と言います。

 1952年、朝鮮戦争の最中に平和を求めたデモ隊を大弾圧した大須事件が起こったのはこの近くでした。10月9日(前夜祭)から11日まで、恒例の「大須大道町人祭」が予定されています。パントマイム、ジャグリング、舞踏や地元の大須太鼓や大須消防団による木遣りの演技も見られます。笑いがあり、元気な大須を楽しめそう。