内部留保を労働者と社会に還元し、内需の拡大を! その8(最終回)

 労働問題総合研究所は11月18日、「経済危機打開のための緊急提言」を発表しました。数回に分けて転載致します。

*非正規雇用者全員の正規雇用化(表C)

《試算方法》(1)非正規の正社員化については、派遣労働者と有期契約労働者の2つに分けて対象人数を決めた。派遣労働者は、総務省「就業構造基本調査」(2007年)にもとづき160.7万人とし、そのうち33.2%を正規社員化する対象とした。厚生労働省「労働力需給についてのアンケート調査」によれば、「派遣労働者が派遣という働き方を選択する理由」として、「正社員として働きたいが、就職先が見つからなかったため」派遣労働者が32.2%にのぼっているからである。
 有期契約労働者の正規化の人数は310万人とした。厚生労働省「有期契約労働者の雇用管理の改善に関する研究会報告」(2008年7月)で、「1週間の所定内労働時間が通常の労働者と同一な有期契約労働者が310万人に上る」としていることから、そのデータを採用することにした。
(2)賃金増加分については、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」にもとづいて、「正社員・正職員計」(年間賃金万円)と「正社員・正職員以外計」(同万円)の賃金の差額分を賃金増加分とした。その際、派遣労働者については、相対的に青年労働者が多いことを考慮して、25〜29歳の年齢階級別賃金(「正社員・正職員計」(年間賃金万円)と「正社員・正職員以外計」(同万円))を用い、それぞれの賃金増加額に非正規から正規化した人数を乗じて賃金増加額を求めた。
(3)正規化される前と非正規のときの平均賃金を総務省「家計調査」の「年間10分位階級別」にあてはめ、消費パターンの違いからくる限界消費性向を計算し、賃金増加分がどのような消費にどれくらい支出されるかを算出。
(4)最後に、これらの消費支出の増加が日本経済にどのような波及効果をもたらすかについて「産業連関表」を用いて算出した。

《試算結果》
 非正規の正規化で派遣53.4万人、有期契約310万人を正規化するために必要な原資は20.6兆円。それによって国内需要が20.4兆円拡大。国内生産を46.9兆円誘発。GDPを約25.6兆円増やす。それに伴って、国税地方税合わせて4.5兆円の増収となる。


*完全週休2日制・有給休暇の完全取得(表D)

《試算方法》
(1)完全週休2日制については、厚生労働省「就労条件総合調査」にもとづき、産業別に「各週休制別週所定労働時間」から「完全週休2日制週所定労働時間」を差し引き、これに各週休制別適用労働者割合を乗じて算出しその累計を完全週休2日制週所定労働時間で除して算出。雇用増加数は15万人となる。
(2)年休の完全取得は、産業別に「就労条件総合調査」にもとづき産業別の年休未消化日数を算出し、それを「毎勤調査」による年間出勤日数で除して、年休完全取得による雇用増加数を算出した。