COP15デンマークツァーに参加して

標記ツァーに参加された富山医療生協の岡田美乃利様から訪問記が寄せられましたので2回に分けて掲載させていただきます。

デンマークの状況(09年12月デンマークを訪問して)
2010年1月2日  岡田美乃利
一、国の基本的考え方
 国の基本は個人一人ひとりを大切にする、そのために地域や社会、国はどうあるべきかを100年に亘って、国民が考え、協力し、持続可能な現在のデンマークをつくってきた。
二、その基本は
 水とエネルギーと食料の自立が国づくりの基本。これが自給できれば豊かさを感じることができるし、他国と争わなくて済む。エネルギー自給率は139%(日・4・2%)、食料自給率は300%、飲料水などは地下水(浄化なし。農薬は3ヶ月散布、9ヶ月禁止。畜産農家は9ヶ月の家畜糞尿タンクの設置が義務付けられている。
三、具体的には
 エネルギーは再生可能エネルギー2025年まで再生可能エネルギーの割合を全体エネルギーの30%までとする。
2030年まで国内電力消費量の50%を風力で賄う。
 現在、
1、風力発電風力発電では世界一)1MW(1000KW)で650世帯の電力を賄う。
2、風力は現在6400基で電力消費量の約15%の50億KWを発電全消費量の85%を個人と協同組合で、電力会社は15%
3、廃棄物発電(産業廃棄物など)
4、バイオガス発電(家畜の糞尿)現26箇所、家畜糞尿はガス抜きし、再び肥料。
5、麦わら発電(農家持込と有料で国買取り、後で出る灰は出した農家へ、肥料に)
6、天然ガス発電北海油田だが、あと10数年で枯渇)
7、原発はゼロ(1960年代から原子力導入を検討するも、1985年に正式に原子力なきエネルギー政策確立。原発導入は国民投票で)日本の原発発電率27・8%。
8、日本で使われている電気暖房器具はデンマークでは数十年前に使用禁止。今は温水を使って暖房。余分なガスや大気汚染を防ぐのに地球にやさしいシステム。
9、全国の全道路に電柱ナシ。地下には配電線、水道、給湯管、下水管など埋設。
10、循環型システム。空瓶はスーパーのボトル回収機でレシートを取りレジへ、1
本20円還元
四、個人・環境を大切にする社会、無駄を出さない社会
1、医療・介護
介護施設は1人二部屋・36平米(12坪・24畳)
介護施設への入所待機者ゼロ。在宅介護は24時間
高齢者は年金で衣食住、文化・趣味など支払っても2〜3万円は残る。
介護施設の利用料は収入で決まるので全ての国民が利用できる。
医療費無料、外国で手術しても無料でその付き添いの家族滞在費も無料
生まれたときから死ぬまで医療は全て無料。難病で外国で手術し、付添いの親や肉親の旅費・滞在費は国が責任をもつ。親の負担はゼロ。(鈴木さん孫が心臓病でロンドンで手術。1億超)
2、教育の目標は「国家運営」に参加する国民をつくること
 国民は国家の財産であり、教育は国家を支える人材を育成する国家的事業だという考え。
教育費は大学卒業まで無料。全国高校野球大会など教育に競争するスポーツなどナシ。
教科書6〜7年使用。小・中学校(9年生学校)の玄関を入ると5つの時計で世界の時刻。
学校では学期末の通知表はナシ。受付もナシ。試験(例・小学校、大学の問題例)
鉄道の改札ナシ。その分はサービスにまわす(無銭乗車をやろうと思えば出来るが、検札で見つかれば1万円)  
3、その他
 親の子どもの扶養義務は18歳まで、大学生には国から月約10万円支給。18歳で親と別居。15歳から税金の自主申告(アルバイト収入も申告)。子どもの時から税金の使い方に関心。
 農業協同組合は生産、加工、販売まで全過程を担っている。このように生産者が自らの利益を、加工業者、販売会社の「中間搾取」「買い叩き」から守るために作った組織で、人件費の高いデンマークでも世界で競合できる農業をつくりあげてきた。
自転車の奨励(自転車道の完備)、電車・地下鉄・バスに持込みOK。駐輪無料。犬も同乗。
 電気使用量の検針なし。自主申告、お互いを信頼。そこに金をかけるなら他のサービスに。 
明石大橋のような大きな橋があるが街灯ゼロ、街灯は街部に有り。又、街にはネオンナシ。(法で禁止)