“ドクター安達の

KokusaiTourist2010-05-24

○○○○○○NPTレポート”その6
大阪民医連社会保障平和委員会委員長で茨木診療所所長、西淀病院副院長の安達克郎様からニューヨークでのNPT再検討会議参加レポートが寄せられました。ご了解をいただき、一部編集のうえ、数回に分けてブログに掲載させていただきます。
日本原水協ニューヨーク派遣団
NPT再検討会議 in New York and San Francisco in 2010
2010年5月1日(土)〜8日(土)茨木診療所所長、西淀病院副院長安達 克郎


6日目その2 2010年5月6日(木) サンフランシスコ 晴れ

ビジターセンターを見学
時間になり、ビジターセンターの見学に入る。敷地からいえばほんの小さなスペースしか与えられていない。先方には核不拡散に興味を持った日本の団体と説明してあるとFSさん。Ryan Nelsonという担当の女性から20分くらい説明を受ける。6500人の職員が働いており、世界トップクラスの研究員が集まっている。
 最初のコーナーは、最大プロジェクトのNation Ignition Institute で、レーザーの発火装置としては世界最大規模のものとのこと。
核爆発につながる核融合の研究をしているらしい。そして世界で3番目にでかいIBM社製のスーパーコンピュータがあると。この研究でコンピュータ・シミレーションにより核爆発の予測ができ、核実験をしなくてよくなったようだ。宇宙物理学にも多いに貢献していると。
 次のコーナーはHome land Security and the War on Terrorismとなっており、核のストックファイル(貯蔵)の研究をしているらしい
 3つ目のコーナーはScience and Technology in the National Interest とあり、エネルギー、地震学、放射能測定による年代推定などの分野で研究所がおおいに研究に貢献していると宣伝してあった。エネルギーについては30秒自転車をこがせてそれがどれほどの電力を生じるか結果を分かりやすく示すデモコーナーがあった。東京土建の若い人がこいでみる。担当の女性は難しい質問に対しては、私は大体小学5年生の生徒に説明するのが仕事ですと言ってかわしていた。
 14:20帰りのバスに乗る。2007年から一部の施設で民営化が始まっていて問題になっている、とFSさんがスコット氏との話の中で聞いたという。運動する側から言えば、公的機関には情報公開法があり一定期間たてば情報が公開されるのだがそれができなくなる可能性、研究者の側から言えば、公務員としての身分の安定や健康保険などの厚生面で不利になる可能性があり、表立って反対できないのでブログを立ち上げて意見を言いあっているそうだ。
夕方は私立サンフランシスコ大学被爆者証言集会を開催
 アメリカフレンズ奉仕委員会サンフランシスコ支部主催の被爆者証言集会が、私立サンフランシスコ大学で催されることになっているのでバスで向かう。途中、サンフランシスコ市庁舎に立ち寄り写真撮影、日本人街を通って16:00現地に到着、アメリカフレンズ奉仕委員会のサンドラさんが迎えに来る。
 証言集会は18:00からで時間があるので彼女の案内でキャンパスを見学、その後売店でおみやげにUSF(University of San Francisco)のマークの入ったボールペンやキーホルダーを買っておく。そして署名も行なった。
 長崎からの参加者はどこでも署名に取り組み、本当に熱心だ。僕もお手伝いをして通り過ぎようとする学生カップルに声をかける。“We are from Japan. And collecting signatures from all over the world in order to abolish nuclear weapons. Could you sign here?”  おお、僕の英語も大分すらすらと言えるようになってきたぞ。女子学生が“Oh, I lived in Saitama.”と言って署名してくれる。話がはずみ、「いつ来たの、いつ帰るの、埼玉は暑かったわ、あなたのお名前は」なんて聞いてきたので名刺を渡しておいた。
 そろそろ時間だ。会場のFromm Hall の方に移動する。入り口の扉に集会の案内のポスターが貼ってあった。The USF Politics Department and International Studies Program Present:NO MORE HIROSHIMAs & NAGASAKIs とある。マーシャル諸島のアバッカ・アンジャイン・マディソンと長崎の被爆者佐久間洋子さんが証言すると紹介してある。
 これは政治学部と国際関係学部の正式な授業で出席すると単位がもらえるということなのだそうだ。時間になり、司会役の女子学生が授業の進行役を勤める。はじめにSKさんが用意してきたA4用紙ページ分の手記を読み上げる。次に日本から同世代の学生として長崎出身の北里大学の衛生検査学部1年のYMくんがニューヨークまでやって来た自分の思いを述べた。彼はこの会場に来てから突然発言を依頼されたようだ。女子学生の反応はSpecutacular(とてもすばらしい)だったとのこと。

 アバッカさんがパワーポイントを使ってマーシャル群島の被爆の実態を証言する。マーシャル群島では60回以上にわたり水爆実験が行なわれ、その影響は2世、3世の世代まで影響が及んでいるとのことだ。
 発表が終わると定刻の19:00を過ぎていた。FSさんが前から見ていると多くの学生が熱心にノートを取っていたので関心持つ学生も少なからずいるようだと励ましてくれた。学生126人が参加したと報告される。
 終了後日本人の学生(2世のようだった)がSKさんにいろいろ質問していた。彼女は原爆投下に関する勉強をしているという他学部の学生だった。
その後レストランで夕食交流会
 19:40バスで出発、30分ほどでホテルに帰着。少し休憩して、近くにあるレストランの夕食交流会へ歩いて出かける。サンフランシスコ市庁舎の見えるレストランに落ちつく。ゲストの政治学部の教授、アバッカさんと2人の学生、クレイグ松崎氏とサンドラさんは、日本からのお客と交流のためそれぞれ分かれてテーブルにつくことに。HB先生はさっそくサンドラさんの横に陣取る。僕もサンドラさんの隣に席を取る。サンドラさんにはマイケルムーアのシッコを見たか?あれで興味を持ってキューバに2回行ってきたこと、彼女は、まだ見ていないが今度ぜひみようと思っている。

 ところで、オバマ大統領をどのように見ていますか?ときかれる。日本の被爆者はオバマ大統領の核兵器のない世界発言を多いに歓迎している、しかしどうも僕はオバマは信用できないと。
 クレイグ松崎氏には、今年の原水爆禁止世界大会(これは英語で World’s Conference against Atomic & Hydrogen BombというとFSさんに聞いておいた)に来ますか、その時にまた会いましょうと言うと、行きたいがお金が工面できるかどうか分からないと。来れないと誠に残念、でもいつかどこかでまた会いましょう。
楽しい交流の時間はまたたく間に過ぎてお開きとなる。ホテルに帰ったのは22時を過ぎていた。

いよいよ次回は最終回です。お楽しみに…!