北欧ツアーを終えて                     添乗員:大村 圭子

KokusaiTourist2010-06-23

 この度も大変お世話になりありがとうございました。出発の1ヶ月前にアイスランドの火山噴火でヨーロッパの空港の一時閉鎖が相次ぎ、沈静化したかと思って安心していたらまた出発の2日前に関西空港に噴火の影響で機材が来ず、フライトキャンセルとなり出発まで本当にヒヤヒヤしましたが、無事に出発できました。

ヘルシンキでは天候に恵まれ、週間予報を裏切り25度というこの時期の北欧では珍しい夏のような日々の中、金曜日1日での視察をこなしました。教育庁就労支援センター、高等職業訓練学校へとかなりタイトではありましたが、非常に感銘しました。何の為に勉強をするのか、勉強したことを人生の生活の糧となる職業へ生かす仕組みがきっちりと出来上がっているだけではなく、人生の途中でやり直しが何度でもきくように考慮され、勉強をすること、職業訓練を受けて違う職業に就くことができます。
 『人口が少ない=人材を大切に育てる=就労させる=税金収入につなげて国を維持していく』と明確な構想のもとこのようなシステムが出来上がったという話ですが、目的がはっきりしていて誰の目にもわかりやすく、また何が必要かという考えの基にシステムができているところがとても良いと思いました。
 日本の自分の人生を振り返ると学生時代にしっかり勉強をしていい学校に行かなければいい会社に入れなかった時代に育ち、いい学校、いい会社とは?そんな常識に縛られるのも面白くないと思いながらもしっかり勉強をしなかったので選べないという現実を突きつけられ、気づいた時には既に時遅しと年齢で判断される社会の中で簡単にやり直すなどできませんでした。
 新緑が目に眩しいヘルシンキの街はとても小さく、トラムや徒歩で自由に動くことができます。映画『かもめ食堂』のロケ地にトラムで地図を片手に何人かの皆様と出かけたのも楽しい思い出です。またヘルシンキ大聖堂の階段に座って時を忘れ、強い日差しの中時々吹く風に当たりながらスローな時間を過ごしたのも忙しい日常生活を忘れる大切な瞬間でした。
 ヘルシンキからストックホルムまではバルト海を豪華客船『シリアライン』で一晩かけての移動です。出航して間もなく世界遺産の・・島を甲板から眺め、絵はがきみたいな景色を楽しんでいると突然ヌーディストビーチのような光景が目に飛び込んできて一緒にいた方々の撮影に動揺が走り、突然のズームアップになったり、ビデオ撮影をしていたはずなのに写真連写モードになったりと大騒ぎでした。船内にはいくつものレストランやカジノ、バー、免税店など本当に一晩飽きないように施設も充実していました。人気の高さがよくわかりました。

 ストッックホルムはあいにくの小雨でしたが、たくさんの島々が連なり、素晴らしい市庁舎の内装や旧市街など日曜のゆっくりとした午前の時間を過ごしました。翌日は素晴らしく晴天でしたが、午前は労働組合総連合、
午後からはスウェーデンの法律家や労働組合幹部を迎えてのシンポジウムでした。ここでも日本の現状の異常さが浮き彫りとなりました。
企業人としての人間性の有無だけをみても、これだけ目に見える程の違いを生み出すものか、労働とは何なのかと思うような根底的な違いがあることがおかしいと思いました。

 スウェーデンを後にして最後の訪問国、ノルウェーには電車で入る予定が工事の都合で途中からバス移動になりましたが、予定通りオスロに到着、そこからはノルウェーでも車窓の景色が最高と言われている区間を特急列車で移動しました。春を感じる景色からどんどん山を登り、
寒々しい景色に段々と変わっていきそして、吹雪の中途中停まる駅で記念撮影の為に車両から降りては車掌に早めに笛を吹かれてバタバタと車両に戻るという楽しい時間の中、フロム鉄道へ乗換えイスが温まることがないほど左右の景色に圧倒され、あっという間にフロムへ到着です

 夜の10時前だというのにまだ外は明るく本当に寝るのが惜しいような毎日です。ノルウェー観光のハイライト「フィヨルドクルーズ」も最高の天気の中、堪能することが出来ました。
2時間かけてゆっくりと3大フィヨルドのひとつ“ソグネフィヨルド”の支流アウルランフィヨルド世界遺産ネーロイフィヨルドの渓谷美を楽しみました。最後の夜は港町ベルゲンで一同にシーフードやクジラ肉、鹿肉などのディナーで締めくくりました。


 視察も観光も、そして3カ国もとぎゅうぎゅうに詰まった10日間のツアーでしたが、皆様の多大なご協力の中、大きな事故やトラブルもなく無事に終えることができ、心より感謝申し上げます。
 またヨーロッパのEU圏を旅するときに、経済的に苦しい国へ行くと弱いものいじめに映るようなデメリットを感じることが多いですが、今回のフィンランドスウェーデンでの職業訓練所ではEU圏で共通の資格としその中では労働の移動が可能であるなどいい面を知ることが出来たのも嬉しく思います。
 日本もアジアの国のひとつとして近隣諸国と共同体を構築して、広くグローバルにいい方向へ向かうよう努力が必要だと思います