低価格競争は何を生む…!

業界紙の年頭挨拶から
 ことしの業界紙の新年挨拶で、大手各社の幹部は、口を揃えて不安定な世界情勢や景気の厳しさを嘆き、「観光立国、新成長戦略」を賛美し、これを追い風に、自社のシェア拡大を至上課題としています。業界リーダーとして、政府の新戦略を検証する議論は殆どありません
 一方、中小業者の各団体トップからは、「生活の一部であった旅が身近な存在で無くなっている」「地域密着の中小の得意分野を消費者とともに育てていく」「目先に左右されない地道な努力の積み重ね」「旅づくりの新しい仕組みを」「海外誘客での民間の役割」「自分流にまい進」「真剣だと知恵が、中途半端だと愚痴が、いい加減だといい訳がでる」など個性的で多様な発言がみられます。

 規制緩和」策のもとで交通機関などの低価格競争が激しくなり、高速道路料金の見直しや超低価格の旅館の増加、LCC(格安航空会社)の出現も注目を集めています。そして「安いのは良いこと」という価値観が旅の世界にもひろがっています。旅行者数や消費金額の長期下落傾向の中での低価格競争は、旅の価値観の変化や安全・安心感の後退を生んでいます
全国7,000に近い中小旅行業者は、住民のニーズに応え、健全な旅の発展に尽くし地域社会に貢献しています。しかし、需要の減少、「旅行社離れ」、大手旅行社の代理店選別や競争が強まる中で、その経営の厳しさは「待ったなしの状態」です。元々競争力の弱い中小旅行業者が、行政から十分な支援を得ることなく、自力と共同の力でたたかい、全体として“旅の世界”を守っています。

 そんな中で兵旅協(兵庫県旅行業協同組合は、『中小旅行業平和憲章草案』を来月の定時総会で提起します。それは、中小旅行業者全体が果たしている役割にふさわしい社会的評価を受け、安定した持続に必要な施策が実施されることをめざして、旅と業界の実態、誇りや願い、業界の展望を示そうとするものです。