「完璧に問題点予見」

原発の危険追及した吉井質問 ネットで反響
本日3月22日しんぶん赤旗より
 「完璧に問題点予見し指摘している」
「非常に論理的でぐうの音もでない」
「こうなると人的災害か」
――。

 日本共産党の吉井英勝衆院議員がかつて行った、今回の福島第1原発事故と同様の事態を予測しつつ対策を迫った国会質問に、インターネット上でこんな反響が相次いでいます。

 ニュースサイト「Ceron」(セロン)http://ceron.jp/url/www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-03-02/2006030201_01_0.htmlが紹介した吉井氏の衆院予算委員会での質問(2006年3月)。地震による原発のバックアップ電源破壊や津波による機器冷却系喪失により、最悪の場合には炉心溶融、水蒸気爆発、水素爆発が起こりうることを具体的に追及していました。質問により、津波による5メートルの引き波が発生した場合、日本の原発の約8割にあたる43基で、冷却水が一時的に海から取水できなくなることが明らかになったことも紹介しています。
 同質問を読んだ多くの人がサイトへ「これ読むと、今の事態を完璧に予言していて震え上がった…。こうなったらイデオロギー論とか二の次!一貫してもの言う人のことにもっと耳を傾けなくては」「驚いたな。ほぼ完璧な予測だ。緊急停止後の冷却系が原発の泣き所だったんだ」などの書き込みをしています。
 さらに、「今回の事態は『想定外』ではない。今回の事態は、あらゆる人間が考えを尽くして予想した全てを上回る、とかではない」などと、吉井氏の指摘を顧みず「安全神話」を振りまいてきた政府や東京電力への非難が多数寄せられています。

 中には、「今は、現状打開が最優先」とした上で、「落ち着いたら、大反省会をしましょう」とのコメントも。そこからは、目の前の危機回避に全力をあげつつ、「安全神話」との決別と全国の原発の総点検、さらには原子力から自然エネルギー利用へと政策を抜本的に転換する必要性も浮かび上がってきます。


下記は、2006年3月2日の同しんぶん記事です。

原発8割
 冷却不能
津波引き波5メートル 取水できず
炉心溶融の恐れ

吉井議員指摘
津波による五メートルの引き波が発生した場合、日本の原発の約八割にあたる四十三基の原発で、冷却水が一時的に海から取水できなくなることが一日、明らかになりました。衆議院予算委員会分科会で、日本共産党の吉井英勝衆院議員の質問に、広瀬研吉経済産業省原子力安全・保安院長が答弁しました。
経産相が対策約束(写真)質問する吉井議員=1日、衆院予算委分科会

 吉井議員は、一九六〇年のチリ津波のときに、三陸海岸で約二十五分にわたって引き波が続いたことや、原発のある宮城県女川町で海水面が推定六メートル低下したことを指摘しました。水位が下がった場合、原発の冷却水が海から正常に取水できなくなるのではないかとただしました。
 広瀬院長は、海面が四メートル低下した場合で二十八基、五メートル低下で四十三基、六メートル低下で四十四基の原発が、一時的に取水に必要な水位を下回ると答えました。

 吉井議員は、浜岡原発1号機(静岡県御前崎市)の例をあげ、取水槽の容量からすると「仮に、引き波による水位低下で取水できなくなったときは、三十四秒で冷却不可能になる」と指摘しました。また、途中で原子炉を停止した場合も、崩壊熱(燃料のなかの放射性物質が発生する熱)の除去に毎分六十トンの冷却水が必要になることを示し、「崩壊熱が除去できなければ、炉心溶融や水蒸気爆発など、最悪の場合を想定しなければならない」と、対策を求めました。

 二階俊博経産相は、「安全確保のため、省をあげて真剣に取り組むことをお約束したい」と答えました。

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津波の引き波によって冷却水が取水できなくなる原発(○内は号機)
■水位低下4メートルの場合(28基)▼福島第一(1)〜(6)、福島第二(1)〜(4)、美浜(1)〜(3)、高浜(1)〜(4)、大飯(1)〜(4)、島根(1)(2)、伊方(3)、玄海(1)、東海第二、敦賀(1)(2)

■水位低下5メートルの場合
 (43基)▼(上記に加え)泊(1)(2)、柏崎刈羽(1)〜(5)(7)、伊方(1)(2)、玄海(2)〜(4)、川内(1)(2)

■水位低下6メートルの場合

 (44基)▼(上記に加え)柏崎刈羽(6)
 海水と原発の冷却 原発は、原子炉で発生した熱で水を水蒸気に変えてタービンを回し、電気を発生させています。タービンを回した後の水蒸気は、再び水に戻して使用します。水蒸気を水に戻すときに使われるのが海水です。海水を取り入れることができないと、水蒸気を水に戻せなくなり、原子炉の冷却ができないことになって、炉心が溶け出すなどの重大な事故につながる恐れがあります。