福島原発の電力は首都圏で使っている!

「“福祉広場”毒吐録」から転載


友人から届いたメール。被災地の人々を思い浮かべながら読んだ。
 <先日、水俣病研究の第一人者で医師の原田正純さんが京都で講演しました。原田さんは、公害はそこに住む、最も弱い立場の人が最初に被害者となると話していましたが、それは今回のような大震災、大津波といった自然災害についても言えると思います。さらに、原発事故が重なりました。震災や原発事故を見ていると、どうしても、差別や貧困ということを考えてしまいます。
 福島第一原発でつくった電力は地元ではなく、首都圏で使われています。いわば首都圏に住む人の快適で便利な生活を支えるためにあるとも言えるでしょう。首都圏を支えてきた、その原発によって、福島などの被災者は命の危険にさらされているわけです。連日のニュースで、被災者の救援や不明者の捜索よりも原発のニュースが先に大きく取り上げられることを、なんともやるせない思いで見ていました。
 日本の歴史を振り返れば、東北の人々を虐げてきた歴史と言えるのではないでしょうか。古くは征夷大将軍というのがありました。東北は権力者にとって「まつろわぬもの」だと決めつけられたのです。2・26事件を実行した兵士の中にも東北の出身者は多かったといいます。「おしん」にも見られたような貧困、口べらし、娘の身売りというのもありました。東北は「金の卵」といって、集団就職の人材の供給地であり、そういう一人に永山則夫もいました。コメの名産地でもあります。
 東北は労働力も農産物も電気も都会に供給し、その利便性を支えてきたのに、なんだか裏切られたような思いではないでしょうか。 (同様の構図は関西にもあります。関西の人々の電気を支えているのが福井県原発です。「万葉集」でも有名な防人は、東国の人々を九州の警護につけさせる、差別的な政策でした)
 宮沢賢治草野心平ら、素晴らしい詩人を生んだのも東北、井上ひさしのようなすごい作家を生んだのも東北。豊かな文化のあるところだと思います。しかし、日本の歴史が示すように、東北はつらい目に何度も遭ってきたということを考えざるをえません。>