兵庫の中小旅行業者の団体がアピール

○○○○○○○「東日本」の救援・復旧は日本経済再生の試金石
○○○○○○○○○-16年前の被災地の旅行業界からのアピール-
         ○○○○○○○○○○○○2011年4月22日
○○○○○○○○○○○○○○○○○○(社)全国旅行業協会兵庫県支部
○○○○○○○○○○○○○○○○○○支部長 児島 武
○○○○○○○○○○○○○○○○○○兵庫県旅行業協同組合
○○○○○○○○○○○○○○○○○○理事長 菅原 博美

 東日本大地震が発生し、一ヶ月半が過ぎました。未だに多数の方々の安否が分からない状態が続いています。これだけでも、私たちが16年前に経験した阪神淡路大震災の比でありません。まさに、言葉通りの未曾有の災害です。改めて犠牲者に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
 阪神淡路大震災との違いは、その被災の甚大さはもちろんのこと、巨大地震、巨大津波に加え「原発」がもたらした深刻な被害が、その違いを際立たせていることです。そしてそのことが、被災支援の全国民的、国際的拡がりにもかかわらず、国内では「原発避難民」への「差別」を生み、また、日本全体を「放射能汚染国」として「厳格」に対応する国際環境に置かしめていることは間違いありません。さらに、原発被災の存在が、被災者全体へのしっかりした対策が後手に回っている一因とも言われています。
 原発の「安全神話」が崩壊した今、原発被災は、「想定外だった」との認識をあらため、危険性を指摘してきた国会や多くの市民の声に耳を貸さず、事故直後に、“海水注入”など「必要」な初期動作をためらったことなど、“人災”を認めることによってしか、事態の収束に必要な科学的叡智の結集を図ることはできません。また、そうでなければ被災者の立場にたって誠意ある補償に踏み出すことはできないのではないでしょうか。
 中央では、復興のための“会議”が立ち上がっていますが、まだまだ救援、復旧が緊急の課題である被災地の現状と被災者の気持ちに寄り添った検討が必要でしょう。また、莫大な財源も必要ですが、被災者をはじめ社会的弱者を含む一律消費増税でなく、民間資金の活用を含む応能負担の原則で税収増を図るとともに、不要不急の予算の削減に本気で取り組むことが求められています。
 私たち旅行業界では、東北方面の旅行需要は壊滅状態であるだけでなく、東日本方面が敬遠され、ゴールデンウィークを前に自粛傾向もあいまって全体の需要が激減しており、当面の資金繰りはもちろん今年の見通しが画ききれない状態です。
 観光庁は、観光で経済を活性化させようと業界や関係官庁に向けて声を上げています。そうした動きは、自粛風潮の歯止めには、大いに歓迎です。しかし、インバウンド頼みでなく国内需要振興のための施策こそ求められています。旅行総消費額の長期低減傾向は15年も続いており、そのことを背景に施策の重点に移行した訪日客拡大も、“原発”問題発生以前のここ数年は、停滞傾向からぬけ出せていないのです。
 だからといって、十分な根拠もなく「原発安全」を海外向けに宣伝したり、自粛しないで元気を!とだけの発信では、本当の意味での被災者の救援、震災からの復旧・復興にはなりえません。この際、国民や中小企業が元気になる勤労者の所得増大策など、国民経済活性化策の実現が求められています。それこそが、東日本大震災の救援、復旧そして真の復興につながる道ではないでしょうか。
 私たち中小旅行業者も自らの職域で東日本大震災支援、日本経済活性化のためにがんばります。まさに国難ともいうべき今回の事態、16年前の経験を生かして兵庫県、神戸市もよりいっそうの被災者の立場に立った支援策を全国にリードして提案、実行されることを願うものです。