WSF2011ツアー

に参加して 
東京から参加された宮坂弁護士からレポートが寄せられましたので、転載いたします。

 2011年2月4日から11日までWSFおおさか主催の世界社会フォーラム(WSF)2011ツアーに参加してきました。参加者は、関西から梅田章二さん、上山勤さん、西田和憲さん、中森俊久さん、大矢勝さん、大矢和子さん、藤永延代さん、川西玲子さん、大村圭子さんで東京、埼玉から大久保賢一さん、高部優子さん、そして私でした。
  チュニジアに端を発した独裁政権を倒し民主化を要求する民衆の運動はエジプトや中東・北アフリカの各国に波及し、私たちがWSFに参加した当時は、エジプトで大規模な民衆の運動が繰り広げられている時でした。
2 世界社会フォーラムは、スイスのダボスで開催される世界経済フォーラムダボス会議)に対抗して、民衆の立場からグローバリゼーションのもたらす問題を考える社会運動で、「もう一つの世界は可能だ」を(Another world is possible)合言葉に世界の格差構造を見据え、地球的連帯と民主的で現実的な代替案を求める多数のNGO・NPOなどによるグローバルなネットワークです。
  私は、世界社会フォーラムのこと自体あまり知識もなく、初めてのアフリカを体験してみたいという少し気楽な気持ちでの参加でしたが、今回の参加者には、2007年のケニアのナイロビ、2009年のブラジルのベレンの会議に参加した人もおり、いずれの会議でも憲法9条のキャンペーンを行ってきました。
  今回のセネガルダカールで開催された世界社会フォーラムでも、憲法9条キャンペーンを行うということで、日本からグローバル9条キャンペーンの団扇1000枚、英語とフランス語で9条の条文を書いたチラシ2000枚、横断幕、ノボリ、おそろいの法被などを準備してゆきました。
3 セネガルは、アフリカのサハラ砂漠南西端に位置する国で、その首都ダカールはパリ・ダカール・ラリーの終着点として有名な街です。
  セネガルは、かつてフランスの植民地であった影響で、フランス語が公用語となっていますが、多数の民族がそれぞれの言語を日常語として使っているということでした。経済的には、農業・漁業が中心ですが、首都ダカールには西アフリカ諸国の中央銀行が置かれており、金融・観光などのサービス産業のGDP占める割合は高いということです。宗教は、国民の95%がムスリムで、2000年の大統領交代以降、政治的にも治安面でも安定しており、実際に私たちがセネガルに滞在している間も治安面で不安を感じるようなことはありませんでした。
4 2月6日のWSF初日は、ダカールのラジオ局前からのパレードでした。私たちがラジオ局前に到着した時には、既に沢山のパレード参加者で道路が埋め尽くされていました。

  私たちは用意していった団扇とチラシを配り始めたところ、団扇には沢山の人たちが殺到し、暑さ凌ぎのためにとっておこうとした自分用の1枚もなくなるような状況でした。
  パレードには発表では5万人が参加し、私たちの位置からはパレードの先頭も全く見えず、後方も人で埋め尽くされていました。私たちのグループには、IADLのジーン・マイラー会長と新倉事務局長も参加し、9条と核廃絶を訴えながら行進しました。
  後から聞いたところでは、パレードのオープニングセレモニーには、ボリビアのモラーレス大統領とブラジルのルーラ元大統領が参加し、チュニジアとエジプトの民衆蜂起を支持するとの演説を行ったとのことでした。
5 2月7日は、メイン会場であるダカール国立大学でグローバル9条キャンペーンの宣伝活動とワークショップを見てきました。
  会場で法被を着て、9条団扇とチラシを配布し始めましたが、団扇は前日と同様にあっという間になくなり、チラシも受け取りは良く、受け取った人からグローバル9条キャンペーのことをもっと知りたい、憲法9条のような条文を世界各国の憲法に取り入れるべきだという声も出ていました。
  世界各国のNGOや社会運動のワークショップは、会場内に設営されたテントで行われていましたが、残念ながら日本からのワークショップは見つかりませんでした。アジアからは、韓国の民主労働党のブースと中国NGOと書かれたブースがありました。中国のNGOは一体どんな活動をしているのか?と思い、一緒にいた梅田さんがブース内にいた人に質問しましたが、ブース内に立てかけられていた看板を見ろ、と言うだけで具体的な説明は何もなく、早々に引き揚げました。韓国の民主労働党のブースでは、韓国の国家保安法違反で、7年半拘束されていた人と1年半拘束されていたという人がいました。梅田さんが韓国の国家保安法は日本の治安維持法を基にしているということを言うと、彼らも治安維持法のことをよく知っていました。また、私たちが、韓国の民弁と交流のあることを伝えると、彼らも民弁からの援助を受けており、よく知っていることを話してくれました。
 
6 私たちが、WSFに参加したのは、2日間だけでしたが、新しい社会改革を進めるラテンアメリカ諸国の一つであるブラジルのルーラ元大統領やボリビアのモラーレス大統領がオープニングセレモニーに参加して演説をしているように、新自由主義に対抗する世界の人々の息吹を感じることができました。
  中東・北アフリカで現在も進行している民衆の蜂起は、非民主的な独裁政権に反対するだけでなく、金融危機後、過剰な通貨発行が行われ、それが食料や石油の投機に向かい、生活に不可欠な食料や生活物資の高騰を招いていることへの反発という側面もあります。
  食料危機、環境危機、金融経済危機が拡大している現在の世界において、民衆が貧困、抑圧、戦争から解放されるために、世界の人たちが連帯して行動を起こすことが重要であることを強く感じました。