首相が浜岡原発停止要請

マスコミは…?
浜岡原発 中部電力、首相の原子炉運転停止要請に結論出ず
 中部電力は7日、臨時取締役会を開き、菅直人首相が要請した浜岡原子力発電所静岡県御前崎市)の全原子炉の運転停止について協議したが、要請を受け入れるかどうかについて結論は出なかった。(毎日新聞)

神戸新聞 
  事故が長引けば収入の道を断たれる人が多く発生する。救済は一刻を争う。 国と東電は負担割合をめぐりつばぜり合いをしている。だが、明らかに賠償すべきものについては、東電が当事者の自覚を持って当たらねばならない。…深刻なダメージを受けた事業所は少なくない。廃業や倒産、移転を強いられた事業所の判定や、給与が支払われなくなった人への弁済なども必要になる。 農林漁業者の出荷停止や操業の自粛要請などへの損失も見なければならない。品目や区域ごとに細かく洗い出し、補償の漏れがないようにしたい。


毎日新聞社説:浜岡停止要請 首相の決断を評価する
 菅直人首相が中部電力浜岡原発の全号機の停止を要請した。東日本大震災による原発震災を経験した上での決断だ。
 浜岡原発は近い将来に必ず起きると考えられる東海地震の想定震源域の真上に建つ。建設当時には知られていなかった地震学の知識である。知っていたなら、避けたはずの場所であり、そのリスクは私たちもかねて指摘してきた。
 …防潮堤の設置など中長期の対策が終わるまで停止するよう要請したのは妥当な判断だ。首相の決断を評価したい。中部電力も要請に従わざるを得ないのではないか。
 … 浜岡原発さえ止めれば、それで安心と思ってしまうことがないようにすることも大事だ。大地震のリスクを抱えているのは、浜岡原発だけではない。
… たとえ、現在想定確率が低い場所でも大地震が起きる恐れは否定できない



読売新聞  浜岡原発停止へ 地震津波対策に万全尽くせ
 菅首相が、静岡県にある中部電力浜岡原子力発電所の全原子炉を停止するよう要請した。
 浜岡原発は、30年以内に87%の確率で発生するとされる「東海地震」の想定震源域のほぼ中央にある。首相の要請は、この「特別な状況」を勘案した結果という。
 その上で政府は、大津波に備えた新たな防潮堤を設けるなど、中長期的な安全対策を確実に実施するよう求める方針だ。東日本大震災での教訓を生かそうということだろう。東京電力福島第一原発が、想定外の大津波に襲われ、大事故を起こしたことを踏まえれば、やむを得ない。 浜岡原発では、五つの原子炉のうち1、2号機は廃炉が決まっている。3号機は定期点検のため停止しており、4、5号機だけが運転中だ。正常に運転している原子炉について政府が停止を求めるのは極めて異例だ。
… 運転中に事故を起こし放射性物質が放出される事態になれば、日本全体がマヒしかねない。静岡県や周辺自治体も、早急な安全性の向上を求めていた。中部電力は首相の要請を受け入れるべきだ。


岩手日報  震災と憲法 理念に基づく復興策を
 …日々の暮らしをどう立て直し、働き、産業を興して地域を復興させていくか。あらゆる課題を、憲法の理念に照らして解決していかなければならない。それこそが国家の果たすべき役割だからだ。
 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
 まず、仮設住宅の建設を急がなければならない。
 高齢者施設や身障者施設も大被害を受けた。こちらも受け入れ先の確保を急ぎたい。
 働く場所の確保は、社会権としての勤労の権利に関わる
 農漁業の1次産業を柱に、水産加工業などの立て直しが急務となるが、当面は復旧・復興事業で新たな雇用を生めば、被災した住民が自らの手で地域を再生させる実感と意欲につながるだろう。
 今後の復興計画では居住区域制限や高台への集団移転など、憲法22条(居住の制限)や29条(財産権)が大きな課題になる。
… その意味で復興計画は上から押しつけるのではなく、行政が選択肢を示して住民の選択と判断に委ね、それに基づいて市町村や県が計画を作成。国が財源を含めて支援する態勢が求められよう。 
 憲法は「公共の福祉に反しない限り」という条件下で幸福追求権など幅広く国民の権利を保障しているが、福島の原発事故はこうした国民の権利を著しく侵害した。何の落ち度もない住民が居住権や財産権、子どもたちの教育の権利などを脅かされている


北海道新聞   浜岡原発 安全のため停止は当然
 … 浜岡原発は、東海地震震源域のほぼ中央にあり、全国で最も危険な原発と言われる。… 菅首相の要請は、運転再開を認めないだけでなく、稼働中の原子炉も止めるという踏み込んだものだ。地元の不安を配慮した首相の決断を評価したい。
 中電も要請を重く受け止め、速やかに受け入れるべきだ。
 … このため、政府は計画停電の必要はなく、節電で乗り切れるとしている。電力不足を招かないよう万全の準備をしなければならない。  
 … 菅首相は、海江田経産相と熟慮を重ねたとしている。気になるのは、原子力安全委員会原子力安全・保安院という二つの専門機関が今回の決定に果たした役割が見えず、唐突な感じが否めないことだ。  福島の事故を受け、浜岡原発の停止に踏み切ることは、原子力政策の転換にもつながる決断だ。重要な一歩だからこそ、国民が納得できるよう説明を尽くす必要がある。



【北京共同】 鳩山氏は首相の決断評価
  民主党鳩山由紀夫前首相は7日、菅政権が中部電力浜岡原発静岡県)の全面停止を要請したことに関し「浜岡は一番危険と言われていたので、菅直人首相の決断を評価したい」と歓迎した
訪問先の中国・北京空港で記者団に語った。
 民主党岡田克也幹事長は、視察先の福島県会津若松市で記者団の質問に答え「非常に急がれる問題なので政治決断によって前に進めることが必要だ。首相はよく決断した」と評価。「浜岡原発が置かれた場所、地震の可能性考えれば中部電力側は速やかに受け入れてほしい」と述べた。