被災地激励訪問記4

(K.MASUMOTO)

仙台市内のホテル 
  視察訪問した時には、市内のほとんどのホテルは営業再開していた。震災復興関係者やビジネス利用の宿泊者が多く目につく。観光客はほとんどいない様子。
  ホテルによっては、復興関係者向けに割安料金で受け入れているホテルもある。今回の視察で宿泊した「コンフォートホテル仙台西口」は、損壊個所も全くなく、通常通りの営業状態で、ビジネス利用や復興関係者の宿泊で連日のように満室となっているようだった。

松島の旅館・ホテル  
1)ホテル大観荘
  松島地区ではいち早く営業再開したようだ。他の旅館・ホテルは海岸線沿いの平地にあるため、地震の激しい揺れでの一部損壊や液状化による被害、あるいは、部分的な浸水による被害などがでている。
ホテル大観荘は、松島を望む高台の地にあるため、浸水被害もなく、また、地震の揺れでの被害も割と少なかったようだ。
ホテル担当者に事情を聞いたところ、全国の警察が被災地の治安パトロールを目的に宮城に来ており、そのほとんどが、このホテルに宿泊している。1日あたり、300名程度の人数がある程度の日数(3〜4日か)で順に入れ替わって滞在しているようだ。宿泊予約は、宮城県警からのルートであったり、○○県警からダイレクトに連絡が入ったりするとのこと。一般客室は使用せず、大広間やホールを専用に使用していた。
  この警察部隊の宿泊は、規模の縮小はあるとしても、7月くらいまでは続くだろうとの説明であった。ホテルとしては、早く本格的な営業を再開したいのだが、観光需要が戻るのは相当な時間がかかるとの見通しである。
  その他、現在の宿泊客は復旧・復興の工事関係者ばかりで、道路、鉄道、電線、ガス、瓦礫処理、ビル解体など多岐にわたる工事に従事する人たちが作業着姿で出入りしている様子は、これまでの観光地のホテルイメージからは一変した様相となっている。
  食事会場は、警察部隊はそのグループ専用の食事会場を設けており、その他の工事関係者はもう一つ別の食事会場で一括に取るように設けられていた。ホテルの玄関口には、警察部隊や工事関係者など被災地復興関係者あてに「支援隊の皆様お疲れ様でした。ありがとうございます」との掲示がされていた。

2)松島ホテル一の坊
  ここは、大観荘と違って一般客向けの営業は行っておらず、緊急救援関係部隊に限り臨時営業を行っている状態であった。このホテルは防波堤越に直接に松島湾に隣接しているので、震災直後から津波被害を心配していたが、地震によるひび割れ、ガラスの損壊、建物のつなぎ部分のズレなどの被害が出ており、津波浸水は幸いにも無かったと聞いた。松島地区の住民の多くは、“瑞巌寺”の仏様が松島を津波から守ってくれたと広まっているそうだ。

3)ホテル壮観  ここも、一の坊同様に緊急救援関係部隊に限り臨時営業を行っている状態であった。このホテルは、一の坊と横並びに立地していて松島湾に隣接しているが津波浸水は免れた。
写真のように、北側玄関口の階段部分が30〜40㎝程度浮き上がっており、地震被害の様子が痛烈に印象に残った。阪神淡路大震災の時、ポートアイランドの駅の階段部分がこのように、液状化で大きく段差やズレが生じていたのを思い出す光景だった。
3軒の中では確かに外的な損傷が一番多く目についた。一の坊と壮観の2館のみ温泉の湯を使用するホテルであったが、特に壮観は自前の泉源を持ち100%かけ流しを謳った温泉自慢の宿であった。温泉の泉源は地震の影響はなく大丈夫と聞いた。