現地レポート:南アフリカ1

KokusaiTourist2011-06-19

 定番ツアーの魅力を増強する新素材

WEB版業界紙トラベルビジョン2011/6/3より

ワイン、雑貨、バルーンサファリなどを定番ツアーにプラス
新素材でターゲット層へのアピール力がアップ

 2010年のFIFAワールドカップの開催地となり、世界的に認知を広めた南アフリカ共和国。日本人訪問客は前年比34%の増加を記録した。この潮流を掴み、さらなる旅行需要を喚起したい。南アフリカは、喜望峰やサファリ、ジャカランダの花がツアーの主目的となる人気素材だが、その他にも6000種に及ぶ固有植物やワイン、雑貨、さらにアパルトヘイト撤廃への歴史を知る世界遺産ロベン島など、南アフリカならでは幅広いテーマや素材がある。今回はバルーンサファリも体験でき、参加者の大好評を得た。定番ツアーに加えれば、ターゲット層へのアピール力を強める商品造成が可能だ。
歴史的町並みも楽しむワイン産地ツアー
女性受けする雑貨や自然派商品などのショッピングも

 南アフリカはワイン造りで300年以上の歴史があり、近年日本のワイン好きにも注目されている。ケープタウンから車で45分の郊外にあるステレンボッシュは、南アフリカ最大のワインの産地。17世紀から19世紀の白亜の家々が並ぶ町中はお洒落で、歩くだけでも楽しめる。訪れたワイナリー「ニースリングショッフ・エステート」も、洗練された雰囲気だ。ワインは1本60ランド(約720円)前後という価格帯ながら、高品質との評判。白はソーヴィニョン・ブラン、赤は南アフリカ固有種のピノ・タージュが人気だという。

 南アフリカではワインのほか、キッチンウェアや雑貨、自然化粧品なども、セ ンスの良い品が揃う。動物などアフリカらしいモチーフを用いながら、日本の暮らしにも採り入れやすいデザインで、特産のルイボスを使ったお茶やスキンクリームは女性に好評だ。サファリとワインやショッピングを一国内で楽しめるのは、南アフリカの特長だろう。こうした素材を組み込むだけで、おしゃれな女性をターゲットにしたツアーに変化する。

 ちなみに、ケープタウンにはワールドカップの開催に合わせてホテルが増加しており、デザイナーズホテルも誕生している。2010年にオープンした5ツ星の「ペッパークラブ・ラグジュアリーホテル&スパ」もその一つ。スタンダードルームでもツインルームが多く、バスとトイレ別という日本人好みの仕様で、こうしたホテルを利用すれば、新たなイメージの南アフリカツアーを演出することができそうだ。
南アフリカ固有種の花々
エコツアーやハイクなど多様な企画も

 シニア層を中心に、日本人旅行者に根強い訴求力のある素材といえば、花だ。9月から10月頃に咲く、紫色のジャガランダを主目的にしたツアーは、南アフリカの定番ツアーの一つといっても過言ではないほど人気となっている。

 しかし、南アフリカの花観光はそれだけではない。ケープタウン一帯は「ケープ植物区保護地域群」として世界遺産に登録されており、9000種以上生育する植物のうち7割が固有種という、極めて稀な区域。国内外からのエコツーリズムが高い経済効果を呼んでいるという。わずかながら固有種の鳥も見られるため、バードウォッチングに訪れる人もいる。日本からも、一面のワイルドフラワーを見るツアーが8月頃に催行されている。

人気の花を季節に左右されずに組み込める場所もある。世界遺産内に位置する「カーステンボッシュ植物園」だ。固有種を含む南アフリカの植物が7000種以上集められ、国花キングプロテアや、エリカなどの珍しい品種を見ることができる。市街中心部から車で約10分の近さながら、広大な園内はテーブルマウンテンからの清廉な空気に満ち、パワースポットと呼べるような心地よさ。8月から11月がベストシーズンだが、一年中何らかの花が咲き、遊歩道やカートも用意されている。
 また、テーブルマウンテンにも1470種の植物が生育している。ロープウェイを利用できるが、ハイキングコースも300以上あり、標高1086メートルの頂上へは1時間半から3時間程度。山ブームの昨今、植物やハイキング分野で強みを伸ばすのも一案かもしれない。ただし、天候が変わりやすく単独では難しいので、信頼できるガイドと行くことが必要となる。